Vinnie Moore

UFO加入後2枚目のソロ・アルバム「Aerial Visions」

UFOのギタリスト、ヴィニー・ムーア(Vinnie Moore)が、2009年以来のソロ・アルバム「Aerial Visions」をリリースした。全10曲(日本盤は11曲)のインストゥルメンタル・アルバムだ。

元々、ヴィニーは、80年代にイングヴェイ・マルムスティーンやポール・ギルバート、トニー・マカパイン、マーティ・フリードマン、ジェイソン・ベッカー等を世に送り出したShrapnel Recordsマイク・ヴァーニー系列のギタリストで、85年のVICIOUS RUMORSのデビュー作「Soldiers of the Night」、ソロ名義のデビュー作「Mind’s Eye(86年)」、「Time Odyssey(88年)」は、日本でも高く評価されていた。90年代にもコンスタントにソロ・アルバムをリリースしていたが、ヴィニーの名前が再度、世に知れ渡るのは、2004年にマイケル・シェンカーの後任としてUFOに加入してからで、以降は活動の軸足をUFOに置き現在までに5枚のアルバムをリリースしている。本作はUFO加入後としては2枚目のソロ・アルバムとなる。

80年代に脚光を浴びたメロディ・センス、テクニックは未だ健在!

先に名前を挙げた80年代の2枚のソロ・アルバムは、当時数多く登場したネオクラシカル系ギタリストの中でも、一際メロディアスな作風で、テクニカル・ギタリスト乱立状態の中でも異彩を放った存在だった。

ソロ・デビュー作から約30年が経過した本作でも、そのメロディ・センス、テクニックは未だ健在だ。音楽性はネオクラシカルではなく、クラシック・ロック・スタイルにハイテク・ギター・ソロを絡めた、という感じだ。

いきなりオープニングがブギー調の曲で始まるので、「渋い」アルバムを作ったか?と構えてしまうが、ギターは弾きまくりなので心配ない。UFO的な曲(2曲目)や、軽快なフュージョン(4曲目、7曲目)、スライド・ギターを使ったZZ TOPのカヴァー(5曲目)、泣きメロ満載曲(8曲目)とバラエティに富んだ内容なので、歌無しだが飽きる事はない。特に本編ラスト(10曲目)のA Million Miles Goneのアレンジは絶品だ。テクニカルで弾きまくりというだけではなく、曲、アレンジともに練られており、決してマニア向けの作品ではない。ヴィニーやUFOのファンは勿論、幅広い層のハードロック・ファンにお勧めできるアルバムだ。