2015年に癌の為、来日公演を含む全ての活動を休止したギタリスト、トニー・マカパイン(Tony MacAlpine)が、復帰後初となるアルバム「Death of Roses (デス・オブ・ローゼズ~薔薇に死す~)」をリリースし、完全復活を果たした。本作は、トニーが病の為に活動を休止する直前にリリースした「Concrete Jungle(2015年)」以来となるアルバムで、全7曲、オール・インストゥルメンタルの作品だ。
本作の参加メンバーは、ギター、キーボードのトニーの他、ピート・グリフィン(ベース)、 ジェルゴ・ボーライ(ドラム)のトリオ編成となっている。日本でのトニーと言えば、80年代の2枚「Edge of Insanity(1986年)」、「Maximum Security(1987年)」のテクニカルなネオクラシカル路線が人気だが、本作は基本的に前作の延長線上のスタイルで、曲は全体的にメロディとアレンジ重視のHR/HMであり、極端に速弾きメロディを強調する曲や、昔のトニーのアルバムでは定番だったピアノ独奏といった曲は無い。その意味では、現在進行形のトニーの音楽と言える。
ネオクラシカル路線ではないといっても、90年代に傾倒したジャズ・フュージョン系でもなく、90年代後半からトニーが活動を共にしたDREAM THEATERのメンバーやスティーヴ・ヴァイの様なテクニカルでアレンジの凝ったプログレッシヴなHR/HMインスト的な音楽なので、HR/HMファンや、ジョー・サトリアーニ、エリック・ジョンソンといったロック系のギター・インスト・ファンにアピールする内容のアルバムだ。
Death of Roses / トニー・マカパイン
1.Chrome Castles、2.Electric Illusionist、3.Synthetic Serenity、4.Death of Roses、5.Axiomatic Jewels、6.Entropy、7.Shundor Prithibi