アフリカ、インドネシアなど辺境のメタル・シーンや、ニッチなサブジャンルに特化したメタル研究書シリーズ「世界過激音楽」。その第8弾として、韓国のハードロック/ヘヴィメタル系アーティスト総勢312組、384枚ものディスク・レビューを網羅した驚愕の大全集『デスメタルコリア 韓国メタル大全』(水科哲哉著、パブリブ刊)が8/10(金)より全国の主要書店およびオンラインで発売されることが分かった!

K-POPやヒップホップの存在感が余りにも強すぎて目立たないだけで、韓国のメタルシーンは1980年代からSINAWE白頭山(BAEKDOOSAN)など良質なバンドを沢山輩出している。韓流が流行る前はむしろ「韓国人はメタル好き」とよく言われたものだ。1990年代にはソ・テジやN.EX.Tなど新世代が一世を風靡した。

韓国の音楽史上初めてヘヴィメタルを掲げた真のパイオニア SINAWE

朝鮮民族発祥の聖山の名を冠した韓国HM/HRの第一世代 白頭山(BAEKDOOSAN)

K-POPの礎を作ったカリスマは元々HM/HR界の住人 ソ・テジ

ポップス界でも成功した「魔王」率いるプログレ・モンスターN.EX.T

近年ではREMNANTS OF THE FALLENVASSLINE等メタルコアやメロデス、ハードコア方面でかなりセンスの良いバンドが登場してきている事でも知られる。さらに記憶に新しいところでは、2018年2月の平昌(ピョンチャン)冬期オリンピックの閉会式で、韓国固有の伝統楽器を大胆に導入した男女混成エクスペリメンタル・メタルバンドJAMBINAIがライヴ・パフォーマンスを披露し、全世界を驚かせた。

2017年度「韓国大衆音楽賞」メタル&ハードコア部門に選出! REMNANTS OF THE FALLEN

常に一定水準のアルバム・クオリティを保つ実力派ハードコア VASSLINE

海外公演数150本以上!脅威の男女混成エクスペリメンタル・メタル JAMBINAI

欧米の白人国家を除けば、日本やインドネシア等と並んで、実は世界的にも韓国はかなり規模の大きいメタル・シーンを形成しているらしい。何しろ、韓国の国土面積はハンガリーやアイルランド、チェコよりも大きく、人口(約5150 万人)は北欧5ヶ国(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、アイスランド)よりも多いのだ。あくまでポップスやヒップホップの影に隠れて目立たないだけで、上に被さるレイヤーを剥ぎ取れば、メタルもかなり盛んだという事が分かるだろう。

しかし、なかなか韓国メタルは音源が入手し辛いので、『デスメタルコリア 韓国メタル大全』では視聴方法やストリーミングで聴けるSNSを掲載。一番の読みどころは、海外や日本のメタルバンドの韓国公演歴、そして韓国バンドの海外公演歴の40ページに渡る年表で、韓国でも見ることのない歴史的資料になっているのではないかと思われる。日韓ではメタル交流も盛んだが、韓国でライブに行った時の為のメタル韓国語会話帳の様なものも設けているので驚かされる。

色々と情報やコラム、インタビューを詰め込んだら、『世界過激音楽』シリーズ史上最高文字数の60万字を突破し、384ページにもなってしまった大著『デスメタルコリア 韓国メタル大全』。8/10(金)より全国の主要書店およびオンラインにて入手可能なので、メタルに関しては〈近くて遠い国〉という印象が近年まであった隣国のシーンを垣間見る絶好の機会と言えるだろう。