ハード・ロック・レジェンドDEEP PURPLEの武道館ライヴが登場

ハード・ロックのレジェンド・バンド、DEEP PURPLEが2014年4月に行った日本武道館ライヴを完全収録したライヴ作品「…TO THE RISING SUN IN TOKYO」をリリースした。結成45年目の2013年にリリースされた19枚目のアルバム「Now What?!」は前作「Rapture of Deep」リリース後、7年にもおよぶツアーを経てリリースされ、ドイツをはじめとする欧州各国でチャート1位を獲得した。バンドはそのまま再び長期のワールド・ツアーを敢行し、5年ぶりに日本上陸を果たした。東京公演の会場は18年ぶりに日本武道館が選ばれた。

今なお、特別なバンドであり続けるDEEP PURPLE

現在のメンバーは、イアン・ギラン(ヴォーカル)、イアン・ペイス(ドラム)、ロジャー・グローヴァー(ベース)、スティーヴ・モーズ(ギター)、そしてドン・エイリー(キーボード)だ。バンドの象徴だった、リッチー・ブラックモア(ギター)がバンドを脱退してから20年以上、今は亡きジョン・ロード(キーボード)の脱退からも既に10年以上が経過している。オリジナル・メンバーはイアン・ペイスただ一人。黄金時代と呼ばれた第二期のシンガー、イアン・ギランも全盛期の超絶スクリーミングを聴かせた頃の面影はない。過去の人気バンドが落ちぶれていく典型的なパターンだ。しかし、なおバンドとしての人気と勢いを持続しながら活動を続けているDEEP PURPLEはやはり特別なバンドなのだ。

最高のライヴ・バンドの証明

新作からのAprès Vousで幕を開けるライヴは、70年代の様な爆発的な勢いも鬼気迫る様なインプロヴィゼーションの応酬も無い。しかし、本作を観ればDEEP PURPLEが今なお最高のライヴ・バンドである事が分かる。逆に、ここまでレベルの高い演奏ができるハード・ロック・バンドが、他にどれだけあるだろうか?世界中をツアーし日本にやってくるバンドは数限りなくあるが、今の時代に武道館を埋める事ができるハード・ロック・バンドがどれだけあるだろうか?その武道館の大きなステージには楽器しか置かれていない。派手な仕掛けも演出もなく、あるのはバンドの演奏だけ。俺たちの姿だけを見ろ。演奏だけを聴け。そんなバンドのメッセージが伝わってくる。多くのベテラン・バンドが懐メロセットを繰り返す中、ソロを含めた18曲のうち6曲は新作からの曲だ。イアン・ギランが歌えないからセットに入らない曲があるのはファンならば皆知っている。普通のバンドならそれで終わりだ。ライヴの曲、雰囲気が変わっても、バンドの質、ライヴの質が落ちないからファンはついてくる。DEEP PURPLEはそれができる特別なバンドである事を、本作は証明している。