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リッチー・ブラックモア〈g〉が率いたディープ・パープル。ハード・ロックというジャンルをつくったバンドの一つと言ってもいいだろう。

単に後進の見本となっただけでなく、その楽曲は基本の形として確立され、今聴いても見事な強度を持っている。シンプルかつ魅力があるという点で、ギターを学ぼうとするものの手引きとしても「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のリフや「ハイウェイ・スター」のソロは格好の教材となっている。

演者としての彼らの魅力は、そうした楽曲を壊し続けたところにある。ライブの際にはほとんどすべての曲のギターソロ、キーボードソロの時間が長くされ、リッチーはもちろんのこと、ジョン・ロード〈key〉のソロもアドリヴでその一夜かぎりの輝きを見せていた。スタジオ録音では5分以下の曲も、10分以上の演奏時間になることも少なくなかった。イアン・ペイスのドラミングも安定しながら遊びが多く、聴きどころが多い。

ベーシストについてはグレン・ヒューズの時期に注目したい。メンバー同士のアドリヴの戦いという点ではもっとも激しかったのではないだろうか。もちろん彼の場合はそのヴォーカリストとしての力も特筆すべきだ。同時期に在籍したリード・ヴォーカルのデイヴィッド・カヴァデールとの掛け合いは手に汗を握るものがある。

こうして各パート一人ずつメンバーを挙げはしたものの、加入と脱退の尽きないバンドで、結局はリッチー自身もパープルを離れることになる。バンドの状態が不安定だからこそスリリングな演奏が生み出されていたのかもしれない。