世界中で話題となった映画「アンヴィル!夢を諦めきれない男たち」

まもなくニュー・アルバム「ANVIL IS ANVIL」をリリースする、カナダのメタル・バンドANVIL(アンヴィル)。81年から活動を続けていたが、初期の時代の除き長くシーンから忘れ去られたに等しい存在だった。そのANVILが2009年に意外な形でシーンの表舞台に浮上した。そのシーンとは音楽シーンではなく、なんとハリウッド、つまり映画の世界で一躍有名になったのだ。サーシャ・ガバシ監督のドキュメンタリー映画「THE STORY OF ANVIL(アンヴィル!夢を諦めきれない男たち)」の成功により、ANVILの名はメタル界だけではなく世界中に知れ渡った。世界中のセレブがANVILを話題にし、日本でもニュース番組にメンバーが登場するという一種の社会現象が巻き起こった。映画のプロモーションも兼ねて、ANVILはLOUD PARK09に参戦、翌年には約30年ぶりとなる単独来日も果たした。あれから7年が経過し、映画の事を知らないメタル・ファンも多いと思われるので、新作リリースを機にここでご紹介したい。

苦難の連続でも諦めないANVILが与えた感動

ロック・ドキュメンタリーの映画と言えば、最近ではJOURNEYに加入したアーネル・ピネダのサクセス・ストーリーを描いた「Don’t Stop Believin’」があるが、ANVILの映画はまるでトーンが違う。基本的には、2000年代のANVILがツアー先やレコーディングでのもめ事や、金策に苦戦する様子が描かれている。この映画がメタル・ファン以外にも受け入れられた理由は、何が起こっても常に前向きな思考をして諦めないANVILの姿だ。映画の謳い文句に「笑いあり、涙あり」とあるとおり、悲壮感がある映画ではなく、元気を貰える作品だ。日本で撮影されたシーンが重要な役割を占める部分があるので、日本のファンは、より興味深く見る事ができるだろう。

メタル界の大物も数多く登場

METALLICAのラーズやSLASH、レミー・キルミスター、マイケル・シェンカーといった大物ミュージシャンも数多く登場し、ANVILのファンでなくても十分楽しめる内容だ。今でもDVDで手に入るし、ライヴ作品ではないのでセルDVDだけではなく、一般のDVDレンタルショップでも旧作映画として取り扱っている。時間も80分と短く手軽に見る事ができるので、是非、ご覧いただきたい。