カナディアン・メタルのベテランANVILの最新作「Anvil Is Anvil」は、これまでになくライヴ感とダイナミズムに溢れたサウンドに仕上がっている。その秘密はバンド史上初となるドイツでのレコーディングにあった。ANVILのニュー・アルバムのプロデュースを、U.D.O.の最新作「Decadent」を手掛けた、マーティン・マッツ・ファイファー(Martin "Mattes" Pfeiffer)が行うと知った時、あの重厚なメタリック・サウンドとANVILの曲の融合を考えただけで、新作への期待がさらに高まった。そして、マッツ・ファイファー(プロデュース)、ヤコブ・ハンセン(マスタリング)という、最強コンビが作り出したサウンドは、ANVILが作り上げる妥協なきメタル・ソングの魅力を、最大限に引き出す結果となった。
今回、プロデューサーのマッツが、特別にLive Landの為にインタビューに応じてくれた。


LiveLand(L): ANVILとのレコーディングはいかがでしたか?

マッツ(M): レコーディングはとても素晴らしかったよ。興味深くもあり、初めて経験する事もあった。新しい人と仕事をする時は、多くの新しい事を経験をするものだ。そうだろう?私にとって、ANVILとの仕事は、今回が初めてだった。レコーディングを始める前から、いつものやり方と違う経験となる事は予測していたし、正にその通りになった(笑)。
リズム・ギター、ドラム、ベースのベーシックなレコーディングは、完全なライヴ・レコーディングだ。そして、そこにオーバーダビングを加えていった。つまり、リード・ギターやヴォーカルで、LIPSは2倍働いたという事さ(笑)。

LIPS

L:メンバーと会った時の印象は?

M: ANVILと会った第一印象は、いたってノーマルという感じだった。「俺達はスターだ!」なんて振る舞いは、全く無かった。とても素晴らしい雰囲気の中で、仕事をする事ができた。その結果、我々は素晴らしい作品を作り上げたんだ。
ロブ・ライナーと私は同じドラマーとして、多くの事を語り合った。彼の持っていた、美しいスネア・ドラムがとても羨ましかったよ(笑)。彼とトラブルを起してケンカをする方法を考えてみたんだが、全く思い付かないよ。とてもクールな人だ。
LIPS、、、、彼はLIPSさ。他に何が言える?彼は、これまで私が会った人の中で、最も素晴らしい人だ。バンドの事、家族の事、、、、とても思慮深い人間でもある。そして彼は人生を楽しんでいる。彼が60才だなんて信じられない。驚くべきことだ。
クライストは、恐ろしいベーシストだよ。彼以上にANVILに相応しいベーシストは居ないだろう。キャラクターも素晴らしいし、バック・アップ・ヴォーカルもね。彼が居る限りANVILは安泰だよ。

Robb

L:レコーディングでは、どんなサウンドを目指したのでしょうか?

M: 私が目指したのは、ロブのパワフルなドラム・サウンドを作り上げ、うまくミックスする事、そしてLIPSのヴォーカルをより前面に押し出す事だ。独特のツイン・リバーブのギター・サウンドを上手くとらえる事も重要だった。レコーディングが進むにつれて、サウンドはどんどん良くなって行ったよ。最終的にはライヴのフィーリングを持った、これぞANVIL!というサウンドになった。

L:ニュー・アルバムの音はまるでライヴ・レコーディングの様だと感じました。これまでのANVILのアルバムでもベスト・サウンドだと思います。

M: ハハ!(笑)君がそう思ってくれて嬉しいよ。前に話した通り、それこそ私が欲しかったサウンドだからね。音作りにはかなりの時間をかけた。特にドラムはね。楽器が出す音を、最大限に引き出すことが重要だった。後から修整する事だって可能だが、それをやりすぎてはいけないんだ。そして、このアルバムの素晴らしいサウンドに関しては、マスタリングを行ったヤコブ・ハンセンの素晴らしい貢献を忘れてはいけない。

Christ

L: レコーディングを始める前にANVIL側からリクエストの様なものはありましたか?

M: いや、彼らはとてもクールで、私がやりたい様に仕事をさせてくれたよ。レコーディングを終えて最初のミックスを送った時に、いくつかのリクエストは貰った。とてもプロフェッショナルで、的をえたリクエストだったから、何をすべきか明確に理解できたよ。

L: 反対にマッツからANVILに求めたことはなんでしょうか?

M: 基本的には、まずは自然体でやってみて、その後で、そこからアイデアを膨らませて行きたかった。彼らは実に良くやってくれたと思う。それぞれの曲について、数テイクづつレコーディングを行ったが、どんどん良くなっていったよ。私は「カット&ペースト(切り貼り)」のアルバムを作る事はしたくなかった。それはANVILのアルバムには相応しくないからね。
だから、数テイクを録音して、そこからベスト・テイクを選択した。このアルバムの曲は、最初から最後の一音までベーシック・トラックはライヴ・レコーディングなんだ。前の質問に対する答えは、こういう事だったのさ。
ギターのオーバー・ダブに関しては、エンジニアのクリストフとLIPSが一緒になって取り組んでいた。クリストフは、LIPSから最高のものを引き出す良い仕事をしてくれたよ。
ヴォーカル・レコーディングは本当に素晴らしい体験だった。LIPSは40年ものキャリアを持つ「レジェンド」だ。ヴォーカル・ラインについて、彼と何度も話し合ったよ。彼は、とてもオープンで、プロフェッショナルだった。自分のやり方ではなく、新しい事をあれこれ試すなんて、普通はイヤな気分になるものだけど、彼はそれをやりきってくれた。このアルバムでは彼のヴォーカルはとても多様性を持っており、とても進化したと言える。

L: 最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

M: 親愛なる日本のANVILファンの皆さん。私とANVILが、一緒になって作り上げた「ANVIL IS ANVIL」を、存分に楽しんで下さい。
近くANVILは日本に行くことになるでしょう!その日を楽しみに待っていてください!

写真提供:ルビコン・ミュージック

マーティン・マッツ・ファイファーのプロデュース作品