もはや音楽に国境はないと口に出すことさえ今更感が漂うほどに当たり前のことになって久しいが、遠くヨーロッパの中でも、ギリシャの音楽をいくつ聴いたことがあるだろうか。正直ほかのジャンルにおいては、たったひとりのミュージシャンさえその名前を挙げることがおぼつかないが、ことスラッシュメタルの分野においては、なぜか若手の新世代バンドがいくつも日本盤を発売している。
SUICIDAL ANGELS(スイサイダル・エンジェルズ)
口火を切ったのはSUICIDAL ANGELS(スイサイダル・エンジェルズ)だった。2010年に発売された『Dead Again』 は、疾走するリズムにザクザクとしたギターリフが乗り、中間で切り込んでくるソロも切れ味の鋭いもので、古くからのスラッシャーを満足させた。
CHRONOSPHERE(クロノスフィア)
2014年には話題性豊富なCHRONOSPHERE(クロノスフィア)のアルバムが発売される。TOXIKのギタリスト、ジョシュ・クリスチャンがゲスト参加しているというだけで個人的には驚喜するに値したが、さらにメタル分野の裏方としての知名度が最高峰であるフレドリック・ノルドストロム がマスタリングを手がけたサウンドは、さすがの強烈さだった。
EXARSIS(エクサルシス)
今年2015年に新譜を出したEXARSIS(エクサルシス)も実力派だ。ヴォーカルの交代による音楽性の変化が危ぶまれたが、前任者と同様のハイトーンヴォイスが破壊力抜群のギターリフの上で縦横無尽に叫びまくるスタイルは健在だった。日本デビュー自体はCHRONOSPHEREより前であり、こうして安定した活動が届けられると今後にも期待が膨らむ。