名古屋発のギターロックバンド

Bob is Sickというバンドを貴方は知っているだろうか?彼らは久世悠喜(Vo,Gt),竹内カツヤ(Gt),pino(Ba),近藤潤弥(Dr,Cho)からなる愛知を中心に活動しているギターロックバンドだ。そんな彼らが10月14日に新作「手を伸ばして」をリリースした。

このアルバムは前作の「sokokara」から約1年振りのリリースとなるのだが、この1年で彼らの音は大きく変わった。その理由はバンドとして4人の音の結びつきが強くなったことと、Vo.久世のソングライティングの振り幅が広くなったことに有ると思う

この4人だからこそ出せる音とグルーヴ感

バンドサウンドという面では、圧倒的にGt.竹内のギターの音色が耳に残る様になった。リフの一つ一つがしっかり作り込まれていて何度聴いても新しい発見が有る、王道のギターロックになったのではないだろうか。王道というのは他のバンドと同じ道を辿りやすい分、比べた時に光る物が無いと聴いて貰えないことが多い。その点、彼らの音にはフックが多い。フレーズごとに全く違う表情を見せていて飽きが来ないのだ。例えば「君と話がしたい」は夜の情景が浮かぶ静かな名曲なのだが、そんな情景にぴったりな星が流れる様なギターで魅了して、「big head」ではノイジーな音で耳を惹いた後、優しい音で包み込んで見せたりテクニカルに音を連ねてみたりする。Vo,Gt.久世のギターの音との絡み具合も絶妙で何回も聴いてしまいたくなるのだ。ギターの音数が多いとそのままリズム隊の音も増えてしまい、全体的にごちゃごちゃした印象になってしまうバンドも多いが、その様なことも全く無く、ベースに流れるリズムもどっしりしていて安心感があるものとなっている。確実に前作と比べてバンドの地力が上がって、グルーヴ感がしっかりしている。

希望へ繋がる優しく強い言葉

ソングライティングという面で言えば、前作は立ち止まっている人が次に進める様になるまで隣で寄り添って居てくれる様な優しさを感じる楽曲が多かった。Bob is Sickの魅力の一つに言葉を丁寧に紡いで確実に聞き手の心に届けてくれるという点が有るのだが、今作はただ優しいだけでは無く、寄り添った後に自分で進む為の道標になってくれる様な強くて優しい曲が並んだと思う。Vo.久世の歌を届けようとする気持ちも比例する様に強くなっているのでは無いだろうか。曲によって声の出し方や歌い方まで変えていて、曲の持っている力が最大限に引き出されていると思う。今気持ちが沈んでしまって辛くて仕方ない人に、彼らの音楽はきっと希望をくれるだろう。

11月には今作の東名阪レコ発ツアーもあるので、1度生で彼らの音に触れてみて欲しい。意外にダイナミックな動きに圧倒されつつも曲の持つパワーをしっかり貰える彼らのLIVEは終わった後に、少し前向きな気持ちになれるはずだ。