海外メディア向けのインタビューで、来年の夏にRAINBOWやDEEP PURPLEの曲をライヴで演奏する為のハードロック・バンドを限定的に復活させる、と宣言したリッチー・ブラックモアがBLACKMORE’S NIGHTとして新作アルバム「ALL OUR YESTERDAYS」を完成させ、日本盤が先行リリースされた。

シンガーであり現在はリッチーの妻でもあるキャンディス・ナイトとのプロジェクトBLACKMORE’S NIGHTも気づけば活動開始から18年が経過し、本作が10枚目のオリジナル・アルバムとなっている。長いリッチーの音楽キャリアでも最長記録である事は言うまでもない。シンガーのキャンディス以外のメンバーは流動的であるため、バンドというよりユニットと呼ぶべきであろうが、いずれにしても、かつて首切り魔と呼ばれたリッチーが同じシンガーとこれほど長く活動を共にしているのは極めて異例である。キャンディスがプライベートでもリッチーのパートナーである事が、長続きの理由の一つであることは間違い無いが、公私混同だけでリッチーほどのミュージシャンがBLACKMORE’S NIGHTをここまで長続きさせるはずはなく、キャンディスのシンガーとしての力量を認めたうえでの事であろう。むしろ結成当時はシンガーとしては素人だったキャンディスの素質を見抜き、開花させたリッチーの手腕が見事だったというべきか。実際、DEEP PURPLE~RAINBOWを通じてリッチーに選ばれたシンガーは皆、無名の存在だった。WHITESNAKEのデヴィッド・カヴァーデイルも、伝説のシンガー故ロニー・ジェイムス・ディオも、リッチーに見出されるまではローカル・バンドのシンガーに過ぎなかった。キャンディスもまたリッチーに選ばれたシンガーに相応しい素晴らしい歌をBLACKMORE’S NIGHTで聴かせてくれる。

本作の内容はこれまでのBLACKMORE’S NIGHTの音楽性の延長である。ルネッサンス期のフォークソングをモチーフにしたアコースティックサウンドが中心である。当初はアルバムではエレキ・ギターを封印していたリッチーであるが、近年はその封印を解きソロパートを中心にトレードマークのストラトキャスターをプレイしている。本作ではインスト曲でRAINBOWのMaybe Next Timeを思い出させる様なギターソロを披露しており、オールドファンも必聴の内容となっている。

なお本作はCDのみの通常盤と共に初回限定でPVやインタビューを収録したDVD付もリリースされている。