HER NAME IN BLOODついにメジャーデビュー

2015年9月、ユニバーサルミュージックからついにメジャーデビューを果たしたHER NAME IN BLOOD。他バンドとの差別化を図りにくいメタルコアというジャンルにおいて、彼らがたしかな実力で一段上のレベルにいるということは、音源やライブに触れたことがある人間であれば納得できるだろう。

メジャーデビューにあたって心配されたのは、その牙が丸くなってしまうのではないかということだった。じっさいに、先行してミュージックビデオが公開された「LET IT DIE」にはキャッチーなメロディーが導入されており、不安に思った瞬間はあった。しかし、曲の全体が把握できてみれば、それはまぎれもなくHER NAME IN BLOODの音楽であり、前作までの延長線上にあるものだとわかる。

たしかにメロディーについては前作のリードシングルだった「HALO」などにも効果的に使われており、ヴォーカリストであるikepyの歌唱力が優れていることはメンバーのインタビューでも触れられていた。いつかもっと歌わせてみたいといった内容もあったはずだ。そうすると今回のメジャーデビュー、バンドにとっては、むしろメロディーを本格的に導入する口実として絶好の機会だったのかもしれない。

さて9月に発売されたメジャーデビューEP『BEAST MODE』、全体で見ると2~3分台のコンパクトな曲が並んでいる。9曲入っていてEP扱いであることが不思議だったが、蓋を開けてみれば納得だ。それでもその短さの中にそれぞれ得意のビートダウンパートが設けられており、気持ちよく身体を動かすことができる。新規のファンも獲得する可能性を持った好盤に仕上がっていると言っていいだろう。