静岡のハンド・メイド・エフェクター・ブランドSOUL POWER INSTRUMENTS(SPI)は、オリジナル・エフェクターからモディファイ・エフェクターまで、こだわりのクオリティで、ジェイル大橋(聖飢魔Ⅱ)を始め、多数のプロ・ミュージシャンに愛用されている。その、SPI代表の齋藤和徳(さいとうかずのり)氏へのインタビューをお届けする。


-普段は静岡の工房でお仕事をされている様ですが、東京へも良く来られるんですか?

SPI齋藤(S):そうですね。割と頻繁に。今回は、元ザ・マッド・カプセル・マーケッツの石垣さんから、ツアーで使用する機材のお話を頂きまして、その打ち合わせです。あとは、SPIの製品を扱っていただいている楽器店で、担当の方とお会いしたり、日ごろは東京にいないので、こういった機会を利用して、営業的な仕事もしています。 

-齋藤さん自ら営業もするんですか?

S:だって、僕しかいませんから(笑)

-なるほど。最近の新製品はどんなものが?

S:PRIEST NutubeOverDriveという、KORGの真空管Nutubeを使用した、全く新しいオーバードライブ・ペダルを発表したところで、現在、当社のウェブショップで予約を受付け中です。(本ページ末にリンクあり)

-エフェクターの製造販売以外にも、齋藤さん自らが店頭に立つイベントもあるんですね?

S:はい、楽器店さんからお声がけ頂いて、店頭でエフェクター改造の実演や、セミナー、トークショー等を行なっています。今週末は、広島へ行って、島村楽器さんでイベントを行います。(注、掲載時点では終了。イベントの様子は島村楽器 広島パルコ店 シマブロでご覧になれます。)

-広島ですか!静岡からだと、かなりの遠征ですね。

S:はい、呼んでいただいて、ありがたいですね。都内や地元の静岡以外でも、できるだけ店頭のイベントやセミナーをやりたいと思っています。

-イベントでは、店頭でエフェクターの改造をするんですよね?

S:そうです。前もってオーダーは聞いています。その場で対応できる事と、そうでない事もありますから。でも、基本的には、その場で全部行います。改造前と改造後のそれぞれで試奏をしてみて、お客さんに目の前で違いを聴いて貰う事もあります。

-正に、職人という感じですね!

S:エフェクターを作る事自体は、難しい事では無いんです。回路図は手に入りますし、道具も揃える事はできます。難しいのは、欲しい音、リクエストされた音をキチンと出せるかどうかなんです。それができないと、仕事として継続していくの難しいですね。

-弾き手の要望にいかに応えるか、という事ですね。

S:そうです。特に僕の場合は、自分の好み、考えを押し付ける事はしない様にしています。良いエフェクターが出来たから使ってみてください、という紹介はしても、「こういう音楽だったら、これを使うべき」みたいな押し付けはしたくない。あくまでも弾き手が欲しい音を提供する、というスタンスです。先ほども言った通り、回路図どおりに作る事は難しくない。だけど、お客さんの頭の中にある音色を聞き出して、その音を実際に出せるエフェクターを作るのは、とても難しい。でも、そこにやりがいを感じます。

SPI斎藤さん

-どんな風にお客さんの要望を聞き出すんですか?

S:いろんなパターンがあります。ものすごく具体的に、数値で指定される場合もある。その場合は、勿論、まず指定された通りに作ります。だけど、その通りに作っても、それがお客さんの欲しい音と微妙にズレている場合もあるんです。お客さんも「注文どおりできているけど、期待してた音とちょっと違う」と感じてしまう事がある。そんな時は、納品してからでも、遠慮なく相談して頂いて、音を調整していきます。追加料金も無し。指定された通りに作ったのだから、これで完成です、なんて事は僕はしたくない。指定された通りに作る事が目的ではなく、欲しい音を作り出すのが、僕の仕事ですから。

-大事なことですが、なかなかできる事ではないですね。

S:確かに、できるだけ一発で、お客さんの感覚に近いものを作り出す努力はします。何度も何度もやり直しでは、申し訳ないですから。できるだけ欲しい音を早く的確に捉えるという事も重要です。

-でも、お客さんからしても、欲しい音を正確に伝えるのは難しい事と思いますが。

S:いや、そこは感覚的でもアバウトでも、何でも良いんです。例えば「エロい感じでお願いします」とか「パイ~ん!って感じで」みたいなオーダーを頂くこともありますよ(笑)。そういう抽象的なリクエストを頂くと、こちらもいろいろ考える訳です。「エロい感じってどんな音?」ってね。(笑)。実際にモノが出来上がって弾いて頂いて「齋藤さん、この音、めっちゃエロくていいですね!」なんて言って頂くと嬉しいですね(笑)

-話は変わりますが、齋藤さんは本も書かれていますね?

S:「エフェクターの設計と製作」という本です。これは、エフェクター製作の教材をイメージして書いています。ですから一般の方でエフェクター作りをやってみたい、という方向けです。あとは、シンコー・ミュージックさんの「The Effector Book」という雑誌で「さいとうさんに聞いてみよう」というコラムを書かせていただいています。専門的な雑誌ですが、僕のコラムはゆる~い内容です(笑)
先日、人間椅子の和嶋(慎治)さんにお会いした際、僕のコラムをご存じで、褒めていただいて嬉しかったですね。

-最後に、メッセージをお願いします

S: SPIのエフェクターを、よろしくお願いします!。また、お近くの楽器店でSPIのイベントがあったら、ぜひ、遊びに来てください。見学だけでも全然オッケーです。ありがとうございました!

インタビュー M.Furukawa (2017/3/1)

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店頭イベント:3/12(日) 静岡 すみやグッディ富士店  
エフェクター・クリニック:トークショー、個別モディファイ相談
詳細:すみやグッディ富士店 ホームページ

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