東海を中心に活躍の幅を広げているピアノロックバンド、Qaijffが4月13日に2nd mini album「Life is Wonderful」をリリースした。今作は名古屋グランパスのオフィシャルサボートソングに選ばれた「Don't Stop The Music」を含む7曲入りで、アルバムから事前にMVが公開されており、オーディエンスの新作への期待を込めた声もあちこちから上がっていた。

“ここから全てが始まっていく”、決意の歌

今作を象徴するかのような「Wonderful Life」で幕を開ける今回のアルバム。再生ボタンを押すとVo&Pi&Syn.森 彩乃が奏で出す煌びやかなピアノの音粒が一斉に飛び出し、思わず耳を奪われてしまうこの歌は、出会いと別れの入り乱れる春にぴったりなナンバーだ。森のよく通るソプラノで歌われる始まりの歌の中では、別れの淋しさの中に込められた、“ここから全てが始まっていくんだ”という決意にも似た希望が眩しく光っている。

そして、コーラスワークが光る「未完成ワールド」へ流れ込むと、Ba&Cho&Pro.内田 旭彦の重みのあるベースと、テンポ良くリズムを刻むDr.三輪 幸宏がグルーヴを生み出して、スリーピースだとは思えない高い演奏力を垣間見せる。プログレッシブピアノロックバンドとしての名は伊達じゃないということだろう。是非演奏面にも注目して聞いてみて欲しい。

オーディエンスとの距離を縮める、架け橋になりうる存在

何度も繰り返される『光を探しに行こう』というフレーズが耳に残る「光を探しに」を挟んで、LIVEで『とても大切な歌が出来た』と話していた「Re:Answer」、メロウな大人びた声音で歌われる「ソングフォーミー」とQaijffの持つ様々な表情を堪能したあと、急に視界が開けたように森の声が飛び込んでくる「グッドナイター」へ。居なくなってしまった人の目線で書かれたこの歌は、届かない距離を前に、それでも相手を想う切実さが胸を刺す1曲。描かれた情景の美しさを耳から体感できる、映画のワンシーンを切り取ったような歌詞にも注目したい。

アルバムの最後を飾るのは「Don't Stop The Music」。今までオーディエンスが一緒に歌える曲は少なかった彼らにとってオーディエンスと1つになって歌を歌えるこの曲が生まれたことはとても大きかったように思う。Qaijffは今、とても開けたバンドになりつつある。今までの内省的で染み込むような歌に加えて、オーディエンスの手を取って共に進んでいけるような求心力のある歌はこれまで届かなかった場所にまで彼らのことを運んでいく足掛かりになるはずだ。

彼らは今、全国のタワーレコードでのフリーライブツアーの真っ最中。少しでも気になっている方は是非近隣のタワーレコードへと足を運んでみて欲しい。きっと素敵な音楽と出会うきっかけになるだろう。