DREAM THEATERがニューアルバム「The Astonishing」をリリース
DREAM THEATERが2013年以来となるニューアルバム「The Astonishing」をリリースした。92年のセカンド・アルバム「Images & Words」のブレイク以来、プログレッシヴ・メタル・バンドの先駆者として、独創性あふれる作品をリリースし続けたDREAM THEATERだが、本作でもそのオリジナリティは存分に発揮されている。CD2枚組、トータル2時間を超える内容の本作は、HR/HMの枠を超えた壮大なコンセプトアルバムとなっている。
オーケストラを大胆に取り入れた、美しいメロディに満ちたアルバム
When Your Time Has Comeなどシングル向けの曲もあるが、全体的にはCD一枚を通して聴くことを想定した作りとなっている。CD1がAct1、CD2がAct2とされており、全体で大きく2パートに分かれた長編と捉えるべきだろう。オーケストラを大胆に取り入れ、映画音楽かオペラを思わせる作風は、従来のHR/HMバンドのコンセプト・アルバムとは大きく異なっている。ハードロック的なアレンジがかなり抑え気味になっているので、これまでのDREAM THEATERの延長線上で聴くと、テクニックを駆使したスリリングな展開の少なさに違和感を覚えるファンもいるだろう。普通のロック・アルバムの感覚で聴くと、2時間通して聴くのには、ある程度の集中力を要するアルバムだ。
バンドの意図としてはトータルで聴いてほしいアルバムだろうが、単独で聴いても美しいメロディの素晴らしい曲が沢山あるので、アルバムのコンセプトにとらわれ過ぎずに、個別の曲をピックアップして聴いても十分楽しめる内容だ。
収録曲は全てジョン・ペトルーシ(G)と、ジョーダン・ルーデス(K)の2人によって書かれており、歌詞はアルバムコンセプトを作り上げたペトルーシが一人で書いている。これまでの作品と違い、全ての曲が2人だけで書かれているので、本作はある種の実験的なアルバム、として捉える事もできる。今後のツアーの中で、このアルバムの曲がどの様にプレイされていくのか?完全再現されるのか?興味深いところだ。