超絶技巧を誇るスーパードラマーマルコ・ミネマン
この2015年夏、個人名義によるニューアルバム『CELEBRATION』を発売したマルコ・ミネマン(Marco Minnemann)。超絶技巧を誇るスーパードラマーである。セッション参加やプロジェクトを中心に活動を重ねてきた彼のプレイは、手数や足数などのテクニックが優れているのはもちろんのこと、人間離れしたタイム感こそが魅力になっている。
日本人にとって彼のプレイを目にする機会となったのは、近年ではドリーム・シアターのオーディション映像だった。マイク・ポートノイの脱退というピンチを逆手にとったバンドは、オーディション最終審査の様子を公開し、それぞれのドラマーのプレイの違いをファンに楽しませた。結局合格したのはマイク・マンジーニだったが、マルコ・ミネマンのすごさは最終審査に残った7人のなかでも輝きを放っていた。
知名度の高いアーティストとの繋がりとしては他に、MR. BIGのポール・ギルバートとの活動が挙げられる。ドラマーとギタリストという違いがありながらも何となく雰囲気の似た二人の相性は抜群で、YouTubeなどでもそのセッションの様子を見ることができる。彼がそのテクニックをもっともエクストリームな方向に使っていたのは、クリエイターのツアーに帯同していた頃だろう。日本にも「THRASH DOMINATION」への参加という形で来日し、川崎クラブチッタでは彼のドラムソロの時間も設けられていた。
こうしたドラマーとしての活躍がすばらしいのはもちろんのこと、今回発売された『CELEBRATION』の内容も特筆に価する。ギターやヴォーカルも含めたすべての演奏を自分でやってしまっているのだから開いた口がふさがらない。それも複雑な変拍子を駆使した楽曲をかっちりとプレイ。日本盤の発売はなさそうなので、輸入盤で一聴することをおすすめしたい。