今年6月に25年ぶりのスタジオ・アルバム「Is This the Life that We Really Want?」をリリースし、現在、大規模な北米ツアーを行っているロジャー・ウォーターズが、PINK FLOYD離脱後に行った初めてのソロ・ツアーも模様を収録したCD2枚組「Pros & Cons of New York」が7月に海外レーベルGossipからリリースされている。85年3月のニューヨーク公演のラジオ放送音源を元にしたブートレッグ的な音源だが、通常の輸入盤として流通しており、日本のショップでも入手可能だ。
セットリストはDisc1はPINK FLOYDのナンバー、Disc2はロジャーのファースト・ソロ・アルバム「Pros and Cons of Hitch Hiking(ヒッチハイクの賛否両論、84年)」の再現とアンコールがノーカット収録されている。音質は可もなく不可も無く。85年のラジオ音源としては平均的で、オフィシャル・ライヴ作品が存在しない、当時のロジャーのライヴに接する事ができるという点で、ファンにはありがたいCDだ。ロジャー在籍のPINK FLOYDのラスト・アルバムでツアーが行われる事がなかった「Final Cut(83年)」の曲がプレイされているのもポイントだ。
ロジャーのファースト・ソロに全面参加し、当初ツアーに帯同していたエリック・クラプトンは、残念ながら、このライヴが録音された時期の北米ツアーには参加しておらず、クラプトンとティム・ウェンリックの代わりに、ジェイ・スティープレイ(Gt)、アンディ・フェザー・ロウ(Gt&Ba)がバンドに加わってる。クラプトンが参加していたライヴ音源もブートレグでは出回っているので、今後のリリースに期待したいところだ。なお、KING CRIMSONのメル・コリンズ(Sax)は、本作でもプレイしているので、プログレ・ファンは要チェックだ。
余談ではあるが、近年は大規模なワールド・ツアーを何度も行い、「The Wall Tour」ではソロ・アーティストとしての興行収入1位を獲得するなど、大成功を収めているロジャーだが、80年代はセールス的に大不振で、ツアーの途中キャンセル、規模縮小を強いられ、ロジャー自身も多額の負債を背負う事となり、その後、10年以上ツアー生活から退く結果となっている。
Pros & Cons of New York City / ロジャー・ウォーターズ
DISC 1:1. Welcome To The Machine、2. Set The Controls For The Heart Of The Sun、3. Money、4. If、5. Wish You Were Here、6. Pigs On The Wing (Part I)、7. Get Your Filthy Hands Off My Desert、8. Southampton Dock、9. The Gunner’s Dream、10. In The Flesh、11. Nobody Home、12. Have A Cigar、13. Another Brick In The Wall (Part I)、14. The Happiest Days Of Our Lives、15. Another Brick In The Wall (Part II)
DISC 2:1. 4:30 AM (Apparently They Were Travelling Abroad)、2. 4:33 AM (Running Shoes)、3. 4:37 AM (Arabs With Knives And West German Skies)、4. 4:39 AM (For The First Time Today, Part 2)、5. 4:41 AM (Sexual Revolution)、6. 4:47 AM (The Remains Of Our Love)、7. 4:50 AM (Go Fishing)、8. 4:56 AM (For The First Time Today, Part 1)、9. 4:58 AM (Dunroamin, Duncarin, Dunlivin)、10. 5:01 AM (The Pros And Cons Of Hitch Hiking, Part 10)、11. 5:06 AM (Every Stranger’s Eyes)、12. 5:11 AM (The Moment Of Clarity)、13. Band Introduction、14. Brain Damage、15. Eclipse