ニュー・シンガーを迎えた新作「Concussion Protocol」

30年以上のキャリアを誇る、アメリカン・パワー・メタルのベテラン、VICIOUS RUMORS(ヴィシャス・ルーマーズ)が、通算12枚目のアルバム「Concussion Protocol(コンカッション・プロトコル)」をリリースした。2013年の前作「Electric Punishment」からメンバー・チェンジがあり、本作ではオランダ人シンガーのニック・ホールマン、ベースにティレン・フドラップという若手を迎えている。現在の編成は、ジェフ・ソープ(Gt)、ラリー・ハウ(Dr)、ニック・ホールマン(Vo)、セーン・ラスムッセン(Gt)、ティレン・フドラップ(Ba)となっている。また、レコーディング・ゲストで、ブラッド・ギルス(Gt)、スティーヴ・スマイス(Gt)が参加している。相変わらずメンバー編成が安定しないバンド運営ではあるが、バンドの中心であるジェフ・ソープという絶対的な存在がVICIOUS RUMORSそのものであり、彼がバンドに相応しいと認めるメンバー選定をしている以上、その音楽性は変わらない。逆に、ジェフの音楽性に迷いが生じ、バンドの音に如実に影響を与えてしまった時期もあったが、「Warball(2006年)」、「Razorback Killers(2012年)」、そして前作とここ数作は安定したVICIOUS RUMORSの音楽を届けてくれている。そして本作「Concussion Protocol」もまた「VICIOUS RUMORSかくあるべし」というサウンドが貫かれている。

正統派メタル・バンドの復権も近い?!

カール・アルバート(Vo/故人)在籍時の全盛期の勢いを取り戻すには至っていないものの、近年は、アメリカでもクラシック・スタイルの正統派パワー・メタル・バンドが息を吹き返しており、マイク・ハウ(Vo)が復帰したMETAL CHURCH、まもなく初来日を果たすARMORED SAINT、GRIM REAPERといったバンドが再評価されている。この流れは間違いなくVICIOUS RUMORSにも追い風になることだろう。METAL CHURCHはMEGADETHのサポートとしてツアーを行う事になっている。(その結果、LOUD PARKへの参戦がキャンセルとなってしまったが・・・)、そして、まもなく待望のニュー・アルバムをMETALLICA、仮にMETALLICAがこういったクラシック・スタイルのメタル・バンドをサポートにつけて大規模なツアーを行うことになれば、メタル・シーンの活性化に一石を投じることになるだろう。充実の新作をリリースしたVICIOUS RUMORSが全盛期に勢いを取り戻す日も近いかもしれない!

Concussion Protocol / VICIOUS RUMORS

1. Concussion Protocol、2. Chemical Slaves、3. Victims Of A Digital World、4. Chasing The Priest、5. Last Of Our Kind、6. 1000 Years、7. Circle Of Secrets、8. Take It Or Leave It、9. Bastards、10. Every Blessing Is A Curse、11. Life For A Life、12.Death Bed Razor (ボーナス・トラック)