NWOBHMの代表格TYGERS OF PAN TANGが4年ぶりにニュー・アルバムをリリース
ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタル(NWOBHM)を代表するバンドの一つ、TYGERS OF PAN TANG(タイガース・オブ・パンタン)が、4年ぶりとなるニュー・アルバム、その名も「Tygers of Pan Tang」をリリースする。日本盤は10/26に発売となる。一般的には、後にTHIN LIZZY、WHITESNAKEで活躍する事になるギタリスト、ジョン・サイクスを輩出したバンドとして語られる事が多いバンドで、サイクス自身はこのバンドでは、セカンド・ギタリストの位置づけで1980年に加入し82年には脱退している。
特にサイクス在籍時にバンドがブレイクをした訳ではなく、寧ろ、当時のアルバムのチャート的にはサイクスが加入する前と後のアルバムの方が良い、という事や、バンド最大のヒット曲がカバーソングの「Love Potion No 9」という、事実ではあるが決してポジティヴではない話題が一人歩きしてしまっている感があり、バンド本来の音楽性が語られる事はあまり無いのではないか?
サイクス在籍時もそうでない時も、TYGERS OF PAN TANGの音楽性は、攻撃的なギター・リフが特徴的で同時にメロディやコーラスも豊かで適度なキャッチーさも持ち合わせているという、日本のHR/HMファンからしても、非常に魅力あふれる音楽をプレイしてきている。NWOBHMの両巨頭IRON MAIDENとDEF LEPPARDの(昔の)中間路線を行くイメージだ。
「らしさ」満載のセルフ・タイトル・アルバム
TYGERS OF PAN TANGはセールス不振と契約上の問題がキカッケで83年に一旦解散し、その後幾度かの再結成、疑似再結成、メンバーチェンジを繰り返しており、現在のラインナップは、唯一のオリジナル・メンバーであるロブ・ウィアー(Gt)を中心にジャコポ・マイレ(Vo)、ミッキー・クリスタル(Gt)、ギャヴ・グレイ(Ba)、クレイグ・エリス(Dr)となっている。バンドの歴史的な経緯によりバンド編成が安定していない、というネガティヴ要因はあるものの、軸であるオリジナル・ギタリストのロブとシンガーのジャコボ、ドラムのクレイグは10年以上バンドに在籍しており、バンドの音楽性はファンが求める伝統的なTYGERS OF PAN TANGサウンドが踏襲されている。
オープニング・トラックでPVリリースされた"Only the Brave"をはじめソリッドでクラシック・スタイルのリフが印象的な"Glad Rags"などTYGERS OF PAN TANG「らしさ」が満載だ。だからこそ、このアルバムがセルフ・タイトルになったのだろう。74年のヒット曲カバー"I Got the Music in Me(邦題:歌は恋人、キキ・ディー)"を収録している辺りもTOP「らしさ」ではある。長年のファンは勿論、NWOBHMファン、クラシック・スタイルのメタル・ファンには是非チェックしていただきたいアルバムだ。
Tygers of Pan Tang
1. Only The Brave、2. Dust、3. Glad Rags、4. Never Give In、5. The Reason Why、6. Do It Again、7. I Got The Music In Me、8. Praying For A Miracle、9. Blood Red Sky、10. Angel In Disguise、11. The Devil You Know