SUPER BEAVERがほぼ1年振りとなるフルアルバム「27」をリリースした。今作は先日開催、そして大成功を収めたZepp Diver Cityでのワンマンにてリリースが発表されたもの。3ヶ月連続で発売されているシングル3曲に加え、テレビドラマ主題歌にも選ばれた「人として」など全13曲を収録していて、1曲ずつに言葉の力がしっかりと詰め込まれた、記念盤のような作品となっている。

彼らが示す“大人”という言葉の意味

タイトルトラック「27」で幕を開ける今回のアルバム。《大人になったんだ》という言葉が印象的な、渋谷 龍太(Vo)の柔らかい声音で歌われるこの曲は、年を重ねることを良いことだと思えるような、「人として」にも通じる成熟した人間としての魅力を言葉の隅々から感じられる自分の人生をはっきりと選び続けてきた大人としての決意が伝わってくる1曲で、アルバムを通して描かれていく彼らの人間性を象徴するような仕上がりだ。

17歳からバンドを始めた彼らが、自身も成長しながら一途に音楽と向き合い続ける中で10周年を迎えたのが4月のこと。もうすぐ30歳を迎える4人が歌う“大人”は虚像としての遠い概念ではなく、SUPER BEAVERというフィルターを通すことで、こんなふうになれたら良いなという憧れの存在としてリスナーの目に映るのではないだろうか。

華やかなコーラスが耳を惹く「秘密」では《歓びに声を上げ叫ぶのは 幸せに手を叩き笑うのは 自分のこと 自分の好きなこと 諦めなかったそんな瞬間だろう》《教えてよ あなたの秘密が ちゃんと叶うようにさ》と好きなことを守り抜く勇気をリスナーに曲で手渡し、続く「ことば」、「うるさい」では根本的な立ち位置として、時に厳しく、時に優しく、それでも絶対的にこの曲を聴いている“あなた”の味方だということを示してみせる。

オーディエンスを一括りに扱うのではなく、いつも1人1人の“あなた”として対してきたからこそ、SUPER BEAVERの放つメッセージはしっかりと聞き手の心を打つのだろう。彼らの歌には“他人事では無い、自分の歌だ”と感じさせる確かな説得力がある。

SUPER BEAVERイズムを感じさせる言葉とメロディー

「青い春」、「人として」とバンドの軸になっていくようなパワーに満ちた曲が続く中、アルバムを締めくくるのは共に在る今を祝福する新曲、「素晴らしい世界」。一度聞いたら忘れられなくなるループ性のあるメロディーに載せて紡がれるのは、ラストを飾るのに相応しいSUPER BEAVERらしさ全開の、周りにいる人の存在が愛おしくなるような温度を伴った言葉の数々だ。

《心配しないで 大人は楽しいよ 大切が増えていくんだ》という歌詞をアルバムの最後に歌ったという事実に、歩んできた道のりを背負いながら、メンバー4人で楽しんでバンドを続けている彼らの今の状態の良さが現れている気がした。曲が終わる頃にはこのアルバムが自分にとっての宝物のような一枚になっていること間違いなしだ。

どこを切り取っても、SUPER BEAVERイズムと言わんばかりの強い想いが伝わってくる今作。作品自体も素晴らしいが、彼らの魅力は何と言ってもLIVEの生の現場にある。既にソールドアウトしている会場もあるが、場所によればまだギリギリ間に合うので、売り切れる前にHPやTwitterから是非チェックしてみて欲しい。