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日本時間9月5日の早朝に、GRAHAM BONNET BANDのドラマーにマーク・ゾンダーが加入というニュースが飛び込んできた。マークは先日バック・カタログのリマスター盤をリリースしたばかりのLAのベテラン・メタル・バンドWARLORDのリーダー兼ドラマーであり、かつてはFATES WARNINGにも在籍していた実力派ドラマーだ。GRAHAM BONNET BANDが最近オンラインのみでリリースした新曲My Kingdom Comeにゲストドラマーとして参加していた。今年6月のMICHAEL SCHENKER’S TEMPLE OF ROCKとの来日公演にはマークは同行しておらず、レコーディングのみの参加と思われていたが、ようやく正式メンバーとして迎えられた。グラハムの公式コメントではマークを「今後の全てのレコーディングおよびライヴに参加する正式メンバー」として紹介している。

来日公演はゲストとしての出演ではあったが、観客の多くはグラハムとマイケル・シェンカー両方が目当てだったのは明らかであり、RAINBOWやALCATRAZZの名曲を並べたGRAHAM BONNET BANDのステージは大いに盛り上がっていた。昔はライヴによって出来不出来が激しかったグラハムも、全公演で渾身のパフォーマンスを披露し、涙を流して熱狂するファンの姿も見られた。セットリストに組み込まれていた新曲は、My Kingdom Comeではなくカップリング曲のThe Mirror Liesだった。グラハムもリズムギターをプレイしハードロック調でありながらもリズム&ブルース的な雰囲気を併せ持つ不思議な雰囲気の曲だ。シングルとして単発で聴けば悪くはないが、ライヴでRAINBOWやALCATRAZZの曲に挟まれて演奏されると、若干客席のテンションも下がり気味だったと言わざるを得ない。むしろMy Kingdom ComeはRAINBOWやMICHAEL SCHENKER GROUP時代の音楽性を感じさせる様式美ハードロック・ナンバーで、ドラマチックな展開、グラハムの幅広い音域を駆使したヴォーカルライン、テクニカルで哀愁のあるギターソロと、特に日本のファンには受け入れられやすいスタイルと言え、ライヴではこちらをセットリストに入れた方が良かったかもしれない。

マークのドラムは、高い技量を持ちながらも、パワフルかつシンプルで、グラハムの盟友だった今は亡き最強ドラマー、コージー・パウエルに似たスタイルと言える。新曲My Kingdom Comeの作風、と来日公演での素晴らしいグラハムのパフォーマンス、マークの正式加入で、今後のGRAHAM BONNET BANDの活動に注目だ。できれば次回はヘッドライナーとして来日し、サポートバンドにマークのリーダーバンドWARLORDが帯同すれば大きな話題になるに違いない。