時代に寄り添ったメロディーメーカー

Mrs.GREEN APPLEが新作「Speaking」をリリースした。前々作のリリース以来、平均年齢20歳という若い才能を持った彼らは、全国各地のメディアやオーディエンスに衝撃を与えてきた。フロントマンである大森 元貴の作詞能力の高さと、生まれ出るメロディーラインのポップさが他の追随を許さないほどにずば抜けているのも理由の一つだ。だが、この時代に寄り添った曲を生み出しているということが沢山の人が一瞬で受け容れた一番大きな理由ではないかと思う。

同世代のカリスマとしての存在感

今回のタイトルトラックである「Speaking」は、ネットで誰とでも簡単に繋がれる世界だけど、誰もがどことなく寂しさを感じている社会に、誰かと話すことの楽しさを彼ら流の鮮やかな音像で浮き彫りにした作品だ。

《ねえ 聞かせて》とオーディエンスに問いかける様に曲は始まる。息継ぎを繰り返しながら言葉を紡ぐ大森の意識が、しっかりとリスナーに向いていることが分かって、聞いていると徐々に彼らの世界に惹きこまれてしまう。

この曲で《僕には 教えてよ》、《僕には 話してよ》と何度も出てくる《僕には》というフレーズ。彼らのファンには学生が多いのだが、若い世代のオーディエンスにとって、彼らのようにまるで自らの心情を歌ってくれているようなアーティストは特別で、自分の中で隠していた《誰にも 話す気はない》気持ちを打ち明けてしまえる程に信頼できる存在なのだろう。彼らは同世代のカリスマとしての立ち位置をこの曲で確固たるものとするのではないだろうか。

多角的な魅力の持ち主

カップリングで収録されている「恋と吟」、「えほん」はそれぞれ違ったミセスの魅力を楽しめる作品となっている。「恋と吟」はまるで、歌いながら思っていることを吐き出していく様な歌詞が印象的だ。相手を痛いほどに想う恋心が独白調で展開されていく。タイトルトラックとは対照的に、内省的なこの曲も自由自在に言葉を操るミセスの作詞家としての才能が遺憾なく発揮されていて素晴らしい。

「えほん」は暖かみのあるアコースティックな曲調で、懐かしい絵本を開くことで、そこに眠っていた大切にしていた想いを思い出していくというストーリーが描かれている。ゆったりした気分で聴けるこの曲は、大森の丁寧に一言ずつ語っていく様な声音が耳に心地い。

Mrs.GREEN APPLE 今後の予定

Mrs.GREEN APPLEの今後の予定として、1月13日に1st Full Album「TWELVE」のリリースと、それに伴ったワンマンツアーが3月1日の千葉LOOKを皮切りに全国14箇所のライブハウスで行われる。このアルバムにツアーの先行予約抽選アクセスコードが封入されるそうなので、LIVEに行きたいと思っている人は要チェックだ。