ここ数年多くのカバーアルバムが発売されている。カバーアルバムといえば“アナと雪の女王”の日本語版主題歌を歌いブレイクしたMay.Jが有名である。他にも、JUJU・徳永英明・BENI・つるの剛士・クリスハートなど、多くの歌手がカバーアルバムをリリースしている。これらの歌手の特徴は、やはりずば抜けた歌唱力の持ち主であるということだろう。

自分のヒット曲がないからカバーに頼って…と批判的な声もあるが、それでもこれだけのカバーアルバムがリリースされるのにはやはりそれなりの理由があるからなのではないだろうか。カバーされる曲は歌手本人が選びアレンジをしていることが多く、自分が歌手を目指すきっかけになった曲や、尊敬するアーティストの曲など、思い入れの強い曲が歌われている。

80年代、90年代のヒット曲が多くカバーされるのは、30代から50代の青春時代の名曲がそこにあるからで、やはり名曲は色あせないのである。中島みゆきの“時代”やプリンセスプリンセスの“М”は有名で多くの歌手がカバーしている。斉藤和義の“歌うたいのバラッド”はアーティストにも人気の名曲でMr.childrenの桜井和寿や奥田民生、吉井和哉などがカバーしている。カバーアルバムを出している歌手として、意外だったのが言わずと知れた聖飢魔Ⅱの閣下ことデーモン小暮である。面白いと思ったのは女性ボーカルの曲ばかりを集めていること。大黒摩季の“熱くなれ”レベッカの“フレンズ”などのロックナンバーから、今井美樹の“PIECE OF MY WISH”といったバラードまで面白い選曲になっている。

聖飢魔Ⅱはヘヴィメタバンドであり、あまりお茶の間受けはよくないように思えるが、とにかくデーモン小暮の歌唱力は素晴らしい。実際おいくつなのかは存じあげないが、あの声量の素敵なこと。

若い世代は、好きなアーティストがカバーすることで原曲を知ることも多いだろう。

実際カバーアルバムをリリースする歌手はその曲をたくさんの人に聞いてほしいと思って歌うのだ。スタンダードなカバーからアレンジを効かせたものまで、数多くのカバーアルバムがリリースされている。たくさんの音楽があふれる今、いつまでも色あせない名曲が詰まったカバーアルバムは、懐かしさと新しさを併せ持ち、広い世代に受け入れられているように思う。