これまでの来日公演とは違う会場の雰囲気を楽しめたライヴ
ジェフ・ベック(Jeff Beck)の1年半ぶりの来日公演は9/25(金)ZEPP TOKYOからスタートした。今回の来日は9/27(日)横浜でのジャズ・フェス参加がメインだったが、東京、大阪の単独ライヴも、ジャズ・フェスも、ジェフのスタイルは通常どおりで、特段ジャズを意識したものでは無かった。シンガーのジミー・ホールが追加になった以外はバンドも昨年と同じメンバーで、ジミーの歌モノ以外にも昨年から曲の入れ替えはあったが、音楽的には普段のジェフのライヴそのままだ。ある意味、昨年の来日公演とあまり変わらない内容だったと言えなくもないが、むしろ曲目の変化よりも今までの日本公演ではホールが中心だったジェフのライヴを、小規模のスタンディング会場や野外フェスの会場で観るという、これまでと違った会場の雰囲気でのライヴを楽しんだファンが多かった事だろう。
会場の外まで鳴り響いたジェフ・ベック・サウンド
特に9/27(日)に横浜で行われたBlue Note Jazz Festivalでは、パット・メセニーや他のバンドがお目当てで、ジェフの曲は聴いた事があってもライヴは初体験、というファンも多かっただろう。また、横浜のフェスは赤レンガパークという観光施設の中に特設された野外会場で、周囲を遮るものが何もないためライヴの演奏は全て周囲の一般の広場や商業施設にまで、場内そのままの音量で響き渡っていた。フェスと関係なく遊びに来たら、偶然パット・メセニーやジェフ・ベックのライヴ演奏が聴けてしまった、というラッキーな人も多かったに違いない。
新しいファンにお勧めのライヴ作品
会場へ足を運んだ方は勿論、棚ぼたでジェフのライヴを初体験した方や、見逃してしまった方も含め、今回の来日公演を機にジェフのライヴでのプレイに興味を持ったという、新しいファン向けにお勧めのライヴ作品をご紹介したい。
CDであれば、以前、このサイトでご紹介した最新ライヴ・アルバム「Live+」が今回のライヴに一番近い内容となっている(「Live+」の紹介記事はこちら)。映像でジェフのプレイをじっくり見たいという方には、昨年の来日公演を収録した「Live in Tokyo 2014」がお勧めだ。ジミー・ホールが参加していないので歌モノは入っていないが、その分、今回のライヴで演奏されなかった曲も多数収録されている。また、現在のジェフ(御年71才!!)も十分凄いが、若い頃のプレイを聴いてみたいという方は、77年のライヴ・アルバム「Jeff Beck With the Jan Hammer Group Live(邦題:ライヴ・ワイアー)」が、ギター・インストに転向してからのジェフとしては、唯一の70年代のライヴ・アルバムとなる。当時の音楽的パートナー、ヤン・ハマー(キーボード)のバンドにジェフが客演した形のライヴで、ヤン・ハマーの曲も収録されているが、誰の曲を弾こうがジェフがプレイすればジェフの曲にしか聞えない。音楽的にはフュージョン系だが、70年代らしい荒々しさも感じる事ができる名ライヴ盤だ。本作の国内盤は2004年リマスター盤が高品質BSCD2仕様で再発されている。