名古屋を中心に活動の幅を広げつつあるミソッカスが、9月21日にMajor 2nd Mini Album「深き森の迷路」をリリースした。今作は彼らの混沌とした才能を濃縮して詰め込んだ、全7曲入りの作品。フルアルバムを出してから半年で再びリリースするという制作スパンの短さに、今の彼らの勢いが表れている。

メンバーそれぞれの好みが濃縮された楽曲群

次々と繰り出される語感の良い言葉と中毒性の高いメロディーの中に、時折切実なデストロイはるきち(Vo/Gt)の心情が顔を出すのが彼らの楽曲の魅力。今作のリードトラック「深き森のワルツ」も、そんなミソッカスの魅力を濃縮した名曲だ。マイケルTHEドリーム(Key)の繰る電子音と、はるきちのダウナーな声音に響きに耳を惹かれていると、暗闇の中を彷徨いながら、それでも微かな光を頼りにして前へと進もうとするバンド自身の姿が浮き彫りになってくる。《迷いながらでも進めばいい 一歩一歩を確かめながら》と歌い上げる声に、気付けばぐっと胸を掴まれてしまうのだ。

ストーリーテラーとしての能力がキラリと光る「盗賊と賞金稼ぎ」、鬱屈とした社蓄の感情をコミカルに綴った「夏のイリュージョン」と、メンバーそれぞれが今まで好んできた音楽がバリエーション豊かに表現されているのも今作の特徴。大真面目に遊び心を爆発させながらも、音楽的なこだわりを見失わないところに彼らの職人的な質の高さを感じる。眠れない夜の苛立ちをこころの叫びを織り交ぜながら表現した「HITSUJI SAVE ME」を筆頭に、大人が大真面目に悪ふざけする素晴らしさを、笑いと共に届けてくれる作品も健在だ。

迷路の出口、そしてその先へ。

ミソッカスを一度解体して出てきたものを散りばめたような、この迷路の出口に位置するのは「七色の迷路」というアルバムタイトルを想起させる一曲。ライブハウスに立った瞬間の高揚感や、新しい楽曲が出来た瞬間を思わせるフレーズが並ぶこの曲は、このアルバムと共に新しいフェーズへと突入していく彼らの幕開けにも相応しい、晴れやかな気持ちにさせられるもの。《新しいドアを開けて そこから始めればいい》という言葉で締められる今作に、これからのミソッカスへの期待が否が応でも高まっていくのを感じた。

このアルバムを引っ提げたツアーが10月12日の茨城公演を皮切りにスタートする。~最後の聖戦~と名付けられたツーマンシリーズも合わせて開催されるので、公式サイトやTwitterで最新情報をチェックして欲しい。主催フェスの開催も決定した彼らから、今後も目が離せなくなりそうだ。