30周年目のセルフタイトル・アルバム

今年、結成35周年、デビュー30周年の大きな節目を迎えたアメリカン・スラッシュ・メタルの重鎮バンドFLOTSAM AND JETSAM(フロットサム・アンド・ジェットサム)が、2012年の「Ugly Noise」以来となるニュー・アルバム「Flotsam and Jetsam」を、6/29に日本でリリースする。セルフタイトルのアルバム名が物語るとおり、FLOTSAM AND JETSAMらしい強力な作品だ。初期のアルバム「Doomsday for a Deceiver(1986年)」や「Noplace for Disgrace(1988年)」に立ち返った様な、徹底的にヘヴィで重厚でアグレッシヴな楽曲で構成された作風は、ファンの求めるFLOTSAM AND JETSAMの姿そのものと言える。

スラッシュの枠にとどまらない正統派メタル・サウンド

クリフ・バートンを失ったMETALLICAに、オリジナル・ベーシストのジェイソン・ニューステッドが加入した事が、常に音楽以上に話題に上る事が多いバンドだが、結成当初から一貫してバンドの牙城を守り続けたエリックA.K.(Vo)の声が、FLOTSAM AND JETSAMをスラッシュ・メタルの枠にとどまらない、正統派パワー・メタル・バンドに押し上げたと言っても過言ではないだろう。現在のラインナップには、初期の中心メンバーで'99年~しばらくバンドを離れていたギターのマイケル・ギルバートが復帰しており、よりバンドのサウンドを原点に近づけている。
本作のオープニングの'Seventh Seal'を聴くだけで本作のレベルの高さが分かるが、続く'Life is a Mess'、'Traser'と休むスキが無い。曲調がモロにIRON MAIDENを意識したと感じられる、その名も'Iron Maiden'が逆に浮いた印象を受ける程に、本格的なメタル・チューンが並ぶ力作だ。シンプルではあるが、バンドの音楽の本質を物語っている様な、ジャケットのアートワークも素晴らしい。