グレッグ・レイクがEMERSON, LAKE & PALMER解散後の1981年に行ったツアーの模様を収録した本作は、ラジオ放送向けに録音された音源が元になっている。長い間ブートレグで流通していたものが1995年にオフィシャル・リリースとなり、その後、様々な形で再発されてきた。今回は、同じ時期にニューヨークで収録されたC'est La Vieがボーナストラックとして追加され「LONDON ‘81」というシンプルなタイトルでリリースとなった。なお、現時点では輸入盤のみが入手可能で、国内盤リリースは予定されていない。

このツアーはあくまでもレイクのソロであり、ライヴの主役もレイクである事は間違いない。しかしこのライヴ盤の最大のポイントは、ギタリストとして人間国宝とまで呼ばれたスーパー・ギタリスト、故ゲイリー・ムーアが参加している事である。70年代から様々なバンドで活躍していたゲイリーだが、自身のソロ活動は、当時契約上の問題がありなかなか起動に乗せる事ができない状況が続いていた。そのゲイリーがレイクのソロアルバムに参加し、そのままの流れでツアーにも参加していた。ライヴでは、レイクのソロ曲以外にもELPやKING CRIMSONの曲が演奏され、それらをゲイリーが演奏するという非常に珍しいテイクが残された。ELPでキース・エマーソンがキーボードで弾いていたフレーズやKING CRIMSONでロバート・フリップのギター・フレーズを、あのゲイリーがプレイしているというのは、熱心なゲイリーのファンならずとも興味津々であろう。当然ゲイリーのテクニックをもってすればプレイできないはずはない。むしろ聴けばそれと分かる図太い音や、力強いチョーキング、繊細なビブラート、高速ピッキングというギタースタイルを変えず、見事にELPやKING CRIOMSONの曲にも調和させていた若き日のゲイリーのセンスと技量に驚かされる。

因みに、クレジットによると、このツアーではレイクはボーカルとギターに専念しており、ベースはプレイしていない様だ。歌モノはともかくインスト曲ではベースを弾いてゲイリーのギターと絡んで欲しかったところであるが、それは贅沢な望みというものだろう。