元DESTROSEのリーダーMinaの新プロジェクトFATE GEARがデビューアルバム「A Light in the Black」をリリースし、いよいよ活動を本格化させた。アルバム制作に参加しているのは、MinaとシンガーのNicoの二人のみ。ギターとヴォーカル以外のパートは、Minaのプログラミングによるものだ。プログラミングといってもアレンジは完全にバンドを意識したHR/HMサウンドであり、アルバムリリースと前後して行われたお披露目ライヴではサポートメンバーを迎えたバンド編成で行われている。

ALDIOUSと共に現在の女性メタルムーブメントの先駆けしてシーンを牽引したDESTROSEは、今年初めMinaが長期にわたる病気療養からの復帰を果たせないままに脱退を宣言し、それと呼応するようにバンドの無期限活動休止を発表し、事実上の解散状態となった。もうこのままMinaのギタープレイを聴くことはできなくなってしまうのか?そんなファンの不安を一掃する素晴らしいサウンドが、このアルバムには満ち溢れている。

アルバムに収録の全9曲のうち1曲でNicoが作詞を担当している以外は全てMinaが一人で曲作りを行っている。休業中に書いた曲もあれば、DESTROSE時代の曲をオリジナルバージョンという形で再録したものもある。曲もアレンジも全てMina一人が行っている事により、このアルバムではMinaの音楽性を十二分に堪能できる内容となっている。

DESTROSEの大半の楽曲はMinaによるものであり基本的な路線はFATE GEARでも変わっていない。リフ・オリエンテッドなオーソドックスでキャッチーなHR/HMナンバーばかりである。病気療養中のMinaに復帰を決意させたシンガーNicoのヴォーカルも素晴らしい。ハードな曲からメロウなバラードまでを見事に歌いこなしている。

今後、FATE GEARがバンドとして活動するのか?Nicoとのユニットのままで進んでいくのか?まだ不透明な状態であるが、いずれにしてもMina、Nicoが中心となる事は間違いない。今後の飛躍を期待せずにはいられない素晴らしいデビューアルバムである。