Neo-Zonk

Neo-Zonk L:Shoko Nagasaki, R:Ai Ohnuma

1stアルバム「LUMINOUS」レコ発ツアー・ファイナル

12月1日に、1stアルバム「LUMINOUS」をリリースした、大沼あい、長崎祥子のツイン・キーボード・ユニット、Neo-Zonkがアルバム・リリースに先駆けて行ったレコ発ツアーのファイナルとなるワンマン・ライヴが、東京・高田馬場 音楽室DXで行われた。Neo-Zonkは、10月にも同じ会場でワンマンを行っており、2ケ月連続のワンマンだったが、会場は相席でも座席が足りなくなり、追加の椅子が用意されるほどだった。

独特の緊張感と美しいメロディに溢れるNeo-Zonkのライヴ

ライヴはアルバム「LUMINOUS」のオープニング曲、Prelude – luminous hope – から始まった。文字通り前奏曲的なこの曲は、アルバムの中でも、またNeo-Zonkの曲の中でもシンプルなアレンジの曲だ。軽快なリズムと爽やかなメロディで、ライヴのイントロにはピッタリだ。曲はアルバムの通り、Luminous – crepuscular rays - へと続いていく。変拍子のリズムでピアノをバックに、コンボオルガンがメロディ・ラインを弾く、ある意味プログレ・インストらしい、独特の緊張感を感させる曲だ。しかし、そんな曲中にも、ホッとさせられる優しいPOPなメロディ・パートがあるのが、Neo-Zonkの特徴だ。1曲の中で、動から静、静から動と、どんどん展開が移り変わり、それを一糸乱れぬコンビネーションで演奏していく。それが決して無機質ではなく、表情豊かに演奏される様に、圧倒され、Neo-Zonkの世界に引き込まれる。

曲とのギャップが激しすぎる楽しいMCを挟んで、ファンキーな、U.T. – a hole in danger -が始まる。ファンキーな、と言ってもメインのリズムは、ファンキーだが7分以上の曲の中には、壮大なオーケストレーションを交えたパートもあり、リズム・チェンジも激しい。軽快なファンクが一転して、ハード・ロック的な展開へと変わり、静かなパートを挟んで、またファンクに戻る、といった形で、長いインスト曲が続くが、全く飽きる事が無い。それどころか、もう少し長く続けて欲しい!と思ってしまう程だ。

次のMirageはアルバム未収録の曲だが、アルバムに入っていても全く違和感が無い素晴らしい曲で、これまで以上に激しいドラムとキーボードによってプレイされるベース・ラインのグルーヴが凄まじい。曲中には、キーボードがリズムをとりながらの、ドラム・ソロも組み込まれ、サポート・ドラマーの鎌田紘輔が素晴らしいプレイを披露してくれた。

前半の最後は、アルバム収録バージョンも9分を超える大作のinto the green world。事前のMCではアルバム中の一番の難曲で、穏やかに進む11拍子という不思議な曲だ。途中でスローダウンし、コンボオルガンのソロが延々と続き、長い時間をかけて、徐々に曲のテンションが上がっていく、このサイケデリックな浮遊感を、まさか、ここで味わえるとは思わなかった!派手なリズム・チェンジをテクニカルにキメて聴かせてくれるだけではなく、こういった、淡々と続く長い曲で、これほどの高揚感を味わったのは、本当に久しぶりだ。手元のメモでは、この曲は17分間続いていた事になっている。。メイン・テーマとなるメロディも美しく、長さを感じさせない素晴らしい曲、素晴らしい演奏だ。

ここまででも十分に充実した内容だったが、まだ前半だ。休憩を挟んで、第二部は、アルバム収録のDisorder – out of the cosmos -で再開された。ここから、Eclipse、When you wait for someone in the rainとアルバム未収録の曲が続いたが、第一部で演奏されたMirage同様に、曲のクオリティは全く他の曲と遜色は無い。アルバムに収録する曲の取捨選択には、そうとう苦労したに違いない。寧ろ、これらの曲は、現時点ではライヴでしか聴く事ができない。アルバムを聴けば十分、とはならないという事だ。様々な音色とリズムを使い分けた見事な演奏が続いていく。本編のラストは、アルバムでもラストを飾る、映画音楽の様なアレンジのPrelude – flow of time – ~ Flow of timeの壮大なクライマックスで幕を閉じた。アンコールは、アップテンポの明るいナンバーAir(アルバム未収録)が演奏された。

素晴らしい曲が、高度な技術で、表現力豊かに演奏されるNeo-Zonkのライヴ

全ての曲が、異なる表情を持ち、曲の中にもいろいろな要素が含まれており、マニアックな要素の中に、POPなフィーリングも備わっている。素晴らしい曲が、高度な技術で、表現力豊かに演奏された、素晴らしい内容のライヴだった。更に、それらの曲が、二人のキーボード・プレイヤーと、ドラマーだけで演奏される、という点もNeo-Zonkのライヴの魅力と言えるだろう。ライヴ中に、この音は誰がどうやって出しているのか?と気になって注目した事が、何度もあった。本当の意味で、見どころが多いライヴ、見ていて聴いていて楽しいライヴ、そんな印象を強く持ったライヴだ。

今回のレコ発ツアーでは、アルバムでも全曲でプレイしている鎌田紘輔が全公演でドラマーを務めていたが、Neo-Zonkは大沼、長崎、二人のユニットで、ライヴによってはドラマーが違う事もある。中心は、Neo-Zonkの二人だが、オール・インストのトリオ・ライヴとなれば、ドラマーが変われば、曲の雰囲気も変わる部分があるはずだ。実際、変拍子を多用しているので、ドラマーの見せ場が多い曲もあるし、アドリブで展開する曲ともなれば、ドラマーが果たす役割は更に大きくなる。ドラマーを固定していない事が、ライヴにおけるNeo-Zonkの二人の演奏の魅力を更に引き出しているとも言えるだろう。

この日のライヴは素晴らしかった。だからこそ、違う編成でのライヴも観てみたいと、強く感じさせられたNeo-Zonkのライヴだった。

11/14 東京・高田馬場 音楽室DX セットリスト

1. Prelude – luminous hope -、2. Luminous – crepuscular rays -、3. U.T. – a hole in danger -、4. Mirage、5. into the green world
~intermission~
6. Disorder – out of the cosmos -、7. Eclipse、8. When you wait for someone in the rain、9. Prologue -flow of time-、 10. Flow of time
– encore – Air

Neo-Zonkライヴ・スケジュール

12/23(水・祝) 東京・吉祥寺シルバーエレファント 「PROGRESSIVE LIVE 2015」 (詳細、予約:会場HPより)
1/29(金) 東京・二子玉川 KIWA  「Neo-Zonk Special Live」 (詳細、予約:会場HPより)
Neo-Zonk Special Live