ニュー・シンガーを迎えたKANSASが16年ぶりにアルバムをリリース
アメリカン・プログレッシヴ・ロック伝説のバンド、KANSASが2000年の「Somewhere to Elsewhere」以来16年ぶりとなる、オリジナル・ニュー・アルバム「The Prelude Impacit(暗黙の序曲)」をリリースした。オリジナル・シンガー/キーボードのスティーヴ・ウォルシュが2014年にバンドを離れ、新加入のロニー・プラットを迎えて初アルバムとなる本作だが、スディーヴとスタイルが似ている事から、オリジナル・シンガーの交代にそれ程の違和感は感じない。この辺りは歴史あるバンドとして、YESやJOURNEYと同じ方法論のメンバー・チェンジが功を奏している。
ツアーでは「Leftoverture」完全再現も
ヴォーカル以上に気になるのが、メイン・ソングライターのケリー・リヴグレン、スティーヴ・ウォルシュの不在である。この2人無くしてKANSASのサウンドはあり得ないと感じるファンも多いだろう。しかし、実際にアルバムを聴いてみると、冒頭の"With this Heart"から100%我々が期待するメロディアスで壮大で美しいKANSASの世界が繰り広げられる。かつてのメイン・ソングライターが不在でも、残されたメンバーも、新加入のメンバーもKANSASの音楽とはどうあるべきか、を理解しており、それを念頭にアルバムを作りあげたのだろう。80年代の様なドラスティックな変化を感じさせる曲は無い。オールド・ファンの期待にも応えたアルバムといえる。なお、バンドは本作リリースに伴うツアーで、1976年の4thアルバム「Leftoverture(永遠の序曲)」40周年を記念した全曲再現を行うとの事だ。このツアーも、是非、日本公演の実現を期待したい。
暗黙の序曲 / KANSAS
1ウィズ・ディス・ハート、2.視界ゼロ、3.謳われることなき英雄たち、4.リズム・イン・ザ・スピリッツ、5.逃亡者、6.8分18秒の航海、7.カモフラージュ、8.サマー、9.クラウデッド・アイソレイション、10.セクション60、11.峠の我が家、12.オー・シェナンドー
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