ブリティッシュ・メタル屈指の実力派シンガー、スティーヴ・グリメット(Steve Grimmett)が80年代に在籍していた伝説のパワー・メタル・バンドGRIM REAPER(グリム・リーパー)が87年の「Rock You to Hell」以来となるニュー・アルバム「Walking in the Shadows」を9/23にリリースする事が決定した!(現時点で国内盤リリースは未定)
スティーヴは、数年前からSteve Grimmett's GRIM REAPERという名義でライヴ活動をしており、本作も名義はSteve Grimmett's GRIM REAPERとなっている。一時期はオリジナル・メンバーのニック・ボウコット(Gt)が参加していた時期もあるが、現在のラインナップはRichie Yeates(Gt)、Chaz Grimaldi(Ba)、Paul White(Dr)となっている。現時点ではニュー・アルバムからの音源は公開されていないが、数多くのキャリアを持つスティーヴが敢えてGRIM REAPERを名乗る以上、名盤「See You in Hell」等ファンが期待する路線を継承した、メタル・ファン感涙の内容になるに違いない。
スティーヴは80年代にGRIM REAPERでの活動を終えた後、スラッシュ・メタル・バンドONSLAUGHTにサイ・キーラーの後任として電撃加入してファンを驚かせたが、1枚のアルバムで離脱。その後、自らのリーダー・バンドLIONSHEARTを結成した。このLIONSHEARTは本格派のブリティッシュHRバンドとしてデビュー前から話題となり、デビュー・アルバム「Lionsheart(邦題:獅子の咆哮、93年)」は日本でもメディアで大体的に取り上げられていた。このアルバムはスティーヴの代表作というだけでなくHR史に残る必聴の名盤だが、アルバムリリース直後のメンバーチェンジや、ジャパン・ツアーの東京公演がメディアに酷評された事で、一気にバンドは失墜してしまった。その後、セカンド・アルバム以降は尻つぼみでバンドは崩壊し、スティーヴも一時シーンから遠ざかってしまっていた。LIONSHEARTの東京公演がどれ程酷かったのかはその場にいなかったので、実感が伴わないが、同じ来日で別の会場で見たライヴは、スティーヴの歌もバンドのプレイも非常に素晴らしい内容だったので、当時、楽しみにしていたライヴ・レポートでの余りの酷評ぶりに、我が目を疑ったのを覚えている。
後になって思えば結成間もないLIONSHEARTが、ヘッドライナーのライヴを中野サンプラザの様な大きなホールでやった事など、本国でもなかったのではないか?(筆者が見たのはスタンディングのクラブ)ホールとクラブではステージ上の音の聞こえ方も違うし、少なからずメンバーのプレイやステージングに影響を与えたかもしれない。
本国でサポート・バンド・クラスか、ヘッドライナーではクラブを回っているバンドでも、日本に来ればヘッドライナーでホールでのライヴができてしまったのが当時の日本の音楽シーンであり、そのチャンスを活かせなかったのがバンドの実力と言ってしまえばそれまでではあるが、、、、
結局、LIONSHEARTは海外でも成功できなかったので、日本公演だけがバンドの失速の原因ではないが、いずれにしてもLIONSHEARTの失敗はスティーヴのキャリアに大きな影響を与えてしまったと言わざるを得ない。今回のGRIM REAPERのニュー・アルバムがスティーヴの大復活につながることを期待したい!
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