3月9日にsumikaがバンド史上初となる両A面シングル「Lovers/伝言歌」を限定枚数でリリースした。このシングルはVo.片岡 健太の体調不良による活動休止を経て、“ふっかつ”してから初めての作品でもあり、“ふっかつののろし”と名付けられた付属のDVDもかなり内容の濃いものとなっている。
ピュアな気持ちがぎゅっと詰まった一曲
「Lovers」は今までの彼らのギターロックとしての音楽を中心に据えたメロディーとは一味違う、ミュージカルのような曲調が耳をひく華やかな一曲。《ねえ、浮気して ねえ、ふらついて ずっと ずっと 離れぬ様に》と歌う歌詞は一見矛盾を孕んでいるようにも思えるが、沢山の選択肢から比較した上で、最後にはあなたが良かったと思って欲しい、という想いが隠されている実はとてもピュアなラブソング。
愛情の形は様々だが、最初から一つを決め込んでしまわずに、色々な物に触れた上で自分にとっての好きを選び出すという行為は恋愛だけではなく、例えば食の好みだったり、音楽の好みだったりと様々な《好き》に通じるものだ。復帰して一作目のこのタイミングでオーディエンスに「Lovers」を提示出来るだけの信頼関係が今のsumikaとオーディエンスとの間では紡ぎ上げられているのだろう。
ストレートな言葉が心を揺さぶる「伝言歌」
対して、「伝言歌」は《伝えたい 全部あなたに》というシンプルな言葉がじわじわと心の中に染み込んでくる、直球勝負のストレートな一曲。片岡の伸びやかな歌声が、描かれている感情を引き立てていて、思わず刺されるようなヒリリとした痛みすら覚えてしまう。
この曲にはsumikaが今のNOiDレーベルに所属する前から、レーベル担当の方もリリースして形にしようと言い続けていたという程、一度聴いた人の心を掴んでしまうひたむきさがある。こちらはMVにもなっていないので、店頭に並んでいるCDが無くなってしまう前に是非購入して聞いてみて欲しい。
ニューアルバム「アンサーパレード」とそれに伴うリリースツアーの開催も発表されたばかりのsumika。休止期間に蓄えていたパワーを思う存分発揮して、各地で沢山の人の住処になりつつある彼らのLIVEは誰も独りぼっちにしない、とても暖かいものだ。
今まで彼らのことを知らなかったという人も、これを機に一度ライブハウスへと足を運んでみてはいかがだろうか。あなたにとっての“住処”が見つかるかもしれない。