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イギリスの三大ロックバンドとしてTHE BEATLES、ROLLING STONESと並び称されるTHE WHOが1982年に行った解散ツアーの映像「LIVE AT SHEA STADIUM 1982」がボーナス映像を加えオフィシャル・リリースされた。1978年にドラマーのキース・ムーンが他界した後も活動を続けていたTHE WHOは、アルバム「It’s Hard(1982年)」のツアーで一旦解散している。この時のツアーの映像は過去に「Live from Toronto」がリリースされているが、本作はニューヨークのシェイ・スタジアムでのライヴであり曲目も多く収録されている。なお、この時期のドラマーは、FACES等で知られるケニー・ジョーンズが務めている。解散ツアーという名目で行われたライヴであるが、特別な演出やゲストの登場は無い。逆に言えば当時のTHE WHOの自然体のライヴを捉えていると言える。リマスターされた映像も音も素晴らしい。

メンバーは年齢的には30代後半で、60~70年代の若さを前面に出した破壊的なパフォーマンスではなく、ベテランの域にさしかかった円熟味のあるパフォーマンスを見せている。

このツアーが行われた当時は、キース・ムーンという絶対的なドラマーを欠くバンドを疑問視する声もあったはずだ。しかし、あれから30年以上が経過し、バンドがロージャー・ダルトリーとピート・タウンゼントの2人体制となって久しい今となっては、このキース・ムーン不在のTHE WHOのライヴも、長い歴史を持つバンドの貴重な時期として捉え本作を楽しむことができるだろう。

初来日が実現したのが21世紀になってからという事もあり、日本でのTHE WHOの人気はTHE BEATLESやROLLING STONESには遠く及ばないが、そのライヴ・パフォーマンスの凄まじさは他の伝説的バンドを圧倒している。本作もギミック無しの圧巻のステージが30曲、2時間半にわたって堪能できる内容となっている。