さまざまなバンドやプロジェクトでその圧倒的な歌唱を聴かせ、ハードロック/ヘヴィメタルファンに認知されてきたノルウェー人シンガーのヨルン・ランデ。よくもわるくも一つのバンドに定着しないことが知られているが、そのおかげでさまざまな音楽性の中で彼の声を味わうことができるともいえる。
最初にシーンにあらわれたのは1994年、TNTのロニー・ル・テクロ〈g〉がサイドプロジェクトとしてはじめたヴァガヴォンドだった。透明感がありながら少しひねくれたロニーの曲に野太いヴォーカルが乗る。1996年のセカンドアルバム『A Huge Fan of Life』ではもしかするとヨルンがメロディラインを書いたのか、今の彼の節回し、ソロ作などでも好む音使いのようなものがすでにあらわれている。
1998年にはホワイトスネイクのカバーバンド、ザ・スネイクスで、デイヴィッド・カヴァデールに瓜二つかそれ以上の声が話題となり、2000年には自身の初ソロアルバム『Starfire』をリリース。同年、元コンセプションのトゥーレ・オストビーがはじめたアークのメンバーになると同時に、メロディックハードロックバンドであるミレニアムのメンバーとしてもアルバム『アワーグラス』を発売。
2001年にはアークと自身のソロ作それぞれの二枚目を出し、さらにビヨンド・トワイライトにも参加、さらにさらにイングヴェイ・マルムスティーンのバンドのツアーでも歌うというワーカホリックぶりを発揮。ただしこれらはすべて継続せず、2002年は目立った活動がなくなる。
2003年には再びエンジンがかかり、ハロウィンを脱退したローランド・グラポウ〈g〉、ウリ・カッシュ〈ds〉らと共にマスタープランを立ち上げる。ブレイズン・アボットにも参加し、ソロ作もリリース。
2005年からはシンフォニー・エックスのラッセル・アレン〈vo〉と共にツインヴォーカルのプロジェクト、アレン・ランデを開始、2014年までコンスタントに4枚のアルバムを発売しているが、ソロ以外の名義でこれより多く枚数を出しているものはない。