マルチ・プレイヤー、ビリー・シャーウッドが全てを手掛けたアルバム「Citizen」

現在、クリス・スクワイア亡き後のYESのベーシストとしてツアーを行っているビリー・シャーウッド(Billy Sherwood)が、ソロ・アルバム「Citizen」をリリースした。現在のツアーではベースをプレイしているが、ビリーはマルチ・プレイヤーで、90年代にYESに在籍した際には主にギターをプレイしていた。本作ではヴォーカル、全ての楽器演奏、ソングライティング、プロデュースも行っている。

クリス・スクワイアのラスト・プレイとなったタイトル・トラック、The Citizen

本作のタイトル・トラックThe Citizenでは、今年6月に亡くなったクリス・スクワイアがベースをプレイしている。ビリーのミュージシャンとしてのキャリアに大きな影響をもたらしたクリスのラスト・プレイが、ビリーとの共演となったのは非常に感慨深い。ゆっくりとして広がりのある曲にクリス独特の重いベースが響く。音数は少なく、派手に動き回るわけではないが、クリスらしいベースプレイを聴かせてくれる。なお、この曲には元YESのキーボード、トニー・ケイも参加している。ビリーは、トニーが最後に在籍した「Talk」アルバム時代のYESのツアーにサポート・メンバー(ギター&キーボード)で参加しており、そのトニーが今回はビリーの作品で客演をしているというのは興味深い。
本作はコンセプト・アルバムとして制作されており、壮大で深みのあるアレンジと美しいメロディが印象深い。前述のとおり全ての演奏はビリーが担当しているが、各曲にプログレッシヴ・ロックを代表する豪華なゲスト・プレイヤーが参加しているのも注目だ。

「Citizen」収録内容とゲスト・プレイヤー

1.The Citizen (クリス・スクワイア、トニー・ケイ)、2.Man and the Machine(スティーヴ・ハケット)、3.Just Galileo and Me(コリン・モールディング)、4.No Mans Land(スティーヴ・モーズ)、5.The Great Depression(リック・ウェイクマン)、6.Empire(アラン・パーソンズ、ジェリー・グッドマン)、7.Age of the Atom(ジェフ・ダウンズ)、8.Trail of Tears(パトリック・モラーツ)、9.Escape Velocity(ジョーダン・ルーデス)、10.A Theory All It's Own(ジョン・ウェスレイ)、11.Written in the Centuries(ジョン・デイヴィソン)、12.The Great Depression(アコースティック・ヴァージョン/日本盤ボーナストラック)