neil zaza live

ついにニール・ザザの来日公演が実現!

I’m Alright(96年)のヒットで知られるアメリカ出身のギタリスト、ニール・ザザ(Neil Zaza)の日本公演が遂に実現した。卓越したテクニックとメロディ・センスを合わせ持ち、ソロ・ギタリストとして10枚以上のアルバムをリリースしているニールだけに、初来日を待ちわびたファンが数多くいた様だ。VIPチケットのミート&グリートでは、ニールと間近に接する事ができたファンの感激の表情が印象的だった。ニール自身も来日できた事が嬉しくて仕方がない様子で、中国公演を終えたその足で来日し、大阪、東京と移動日無し、その間にメディア取材も行うというハード・スケジュールにも関わらず、にこやかな表情で、ファンとのコミュニケーションを楽しんでいた。

Neil Zaza in Tokyo 2015

特別なギタリストだけが持つ「凄味」を見せつけたニール

ニールの前に登場したD_DRIVEの熱いライヴが終わっても、殆どの観客はその場を動くことなく、ニール登場に備えて場所をキープしていた。約30分という少し長めのインターバルを置いて、ついにニール・ザザのライヴが幕を開けた。

オープニングはニュー・アルバム「Peach」のWater Townだ。ライヴ感あふれるアルバムの中でも疾走感と軽快なメロディにあふれた曲で、新曲にも関わらず客席からは大きな声援が上がっていた。ニールも感激した様子で、満面の笑みを浮かべながら客席に乗り出すようにプレイをしていた。続く2011年のアルバム「212」のオープニング曲Magnus 212で、早くも高速スウィープをアルバム通りに披露し、ニールの「神技」目当てのファンの目頭を熱くさせた。

Neil Zaza

かつてテクニックに傾倒するギタリストが揶揄される時代があった。多くのギタリストがシーンから消えていくか、路線変更で活路を見出した中、その時代のど真ん中を、自らのスタイルを貫き通して生き残ってきたのがニールだ。Go!、Bariといった軽やかでキャッチーな曲を、笑顔で楽しげにプレイしているが、その指先から繰り出される一つ一つの音には、一線を越えた特別なギタリストだけが持つ「凄味」がある。ギターだけで勝負をする世界的なプレイヤー達、例えば、ジョー・サトリアーニ、スティーヴ・ヴァイ、マイク・スターン、スティーヴ・モーズといったクラスのギタリストと同じオーラを、ニールのステージを観ながら感じていた。
Neil Zaza Tokyo

ソロ・タイム無し、曲だけで勝負した90分フルセットのライヴ

曲間のMCでは、何度も繰り返し日本でプレイできた喜びを語り、時にはスタッフを通訳にして、感謝の言葉を客席に伝えていた。プレイ中の表情を見れば、その気持ちは十分に伝わってきていたが、やはり自分の言葉で感謝する気持ちを表したかったのだろう。

今回のニールのバンドはトリオ編成(ギター、ベース、ドラム)だが、曲によっては、キーボードやリズム・ギターのサンプリングを用いてアルバムの重厚なアレンジを再現する等、ギターだけではなく曲全体のサウンドに拘るスタイルも垣間見えた。ニールのバンド・メンバーのイタリア人リズム・セクション、ウォルター・チェラザーニ(ベース)とエンリコ・チャンチュージ(ドラム)は、「Peach」のレコーディング・メンバーでもあり、安定感のあるプレイでニールのギターを支えていた。

Neil Zaza Tokyo 02

ライヴ本編のラストは、ヒット曲I’m Alrightだ。印象的なイントロに入る前にニールの少し長めのギター・ソロがあったが、その中にI’m Alrightのイントロ・フレーズを少しずつしばせて曲につなげていたので、客席からは曲が始まる前から、その日一番の大歓声があがっていた。I’m Alrightのエンディングにアメリカ国家をつなげて、客席に向かって「敬礼」をしながらライヴ本編は終了した。観客からは当然アンコールの声があがり、再度ニールとメンバーが登場し、Cinematicを演奏してライヴは終了した。長い即興演奏や、ソロ・タイム、バトル等は一切なく、曲だけで勝負するニールのライヴを約90分、全16曲フル・セットで堪能する事ができた。

会場のクローズまであまり時間がなかったので、ステージを終えたニールとメンバーは、そのまま客席に降りてきて、サインや写真撮影に一人ひとり丁寧に応じていた。今回のライヴはDVD用に撮影されていたので、この来日公演やライヴDVDを機に、日本でのニールの評価が高まる事になれば、ニールが熱望する再来日も実現する事だろう。

Neil Zaza Tokyo

ニール・ザザ セットリスト(2015/10/25 東京・両国SUNRISE)

1.Water Town、2.Magnus 212 / Go!、3.Bari、4.Melodia、5.Fargo、6.Cherry Lane、7.Turn The World Around、8.Wild Horses、9.Tobaber / Somewhere In Time、10.This Time、11.Adagio / Beethoven's 5th、12.The Looking Grass、13.In My Dreams、14.I'm Alright / National Anthem、(encore)16.Cinematic

・ニール・ザザのLiveLand向け特別インタビューをまもなく掲載予定です。ご期待ください!