2016年に日本デビュー・アルバムとなった3rdアルバム「The Earth Embraces Us All」をリリースし、2017年9月に初来日を果したイタリアのモダン・メロディック・メタル・バンド、TEMPERANCE(テンペランス)が、本国イタリアで行ったスペシャル・ライヴを収録したライヴDVD/CD「MASCHERE – A Night at the Theater」を9/8にリリースした。本作は現時点では海外リリースのみで、日本盤は未定。
3rdアルバムのリリース後に、21才にして驚愕のテクニックを持つアルフォンソを新ドラマーとして迎え新体制となったTENPERANCEは、欧州各国で精力的なツアーを展開した。そして、そのツアーの合間を縫って、今年4月、本国イタリアの歴史ある雰囲気の劇場で、スペシャルな内容のライヴを行い、その模様をフル収録した作品として本作を作り上げた。そのスペシャルな内容とは、4人の男女コーラス、そして弦楽器奏者を迎えた編成でのライヴであるという事。そして、最新アルバム「The World Embraces Us All」完全再現 +ベストという特別なセットリストが組まれているという点だ。TEMPERANCEは4人編成だが、アルバムのサウンドは非常に重厚で、ライヴではサポート・ミュージシャンを使わず、同期を使ってアルバムのサウンドを再現している。本作は総勢12人(プラス同期も使われている模様)で、アルバムのサウンドを再現しており、そのライヴ感は圧巻だ。更に、この大編成で、最高傑作として疑う予知のない最新アルバムが完全再現されるという、今の時点で考えられる最高のプレイと楽曲が詰め込まれたライヴ作品だ。
もともとサンプリングで補っていたアレンジが生演奏、生コーラスになっているので、バンドそのものの演奏やアレンジが変わる訳ではないという点では、通常のライヴにおけるモダン・メロディック・メタルな要素は全く失われていない。キアラ&マルコのツインヴォーカル、マルコのテクニカル&メロディアスなギター・プレイ、6弦ベースでタッピングやスラップを操るルカ、そして抜群の安定感とテク、パワーを兼ね備えたアルフォンゾという鉄壁のバンド・サウンドを、全18曲フル・ライヴで楽しめる充実の内容だ(CDはDVDから抜粋したベスト選曲)。バンドの演奏は勿論、DVD製作でもマルコ、ルカの2人がプロデュースで関わっており、映像や音質面でも拘り抜いた仕上げを行ってくれている。
アルバムは出せども満足なツアー、ライヴを行う機会に恵まれず、高度なプレイや楽曲があるにも拘わらず、ライヴでその魅力を出し切れない若手バンドが少なくない中、長いツアー生活を通じて磨かれたTEMPERANCEのライヴは間違いなく、アルバム、ライヴの両面で、その魅力を充分に発揮できるバンドである事を、このDVDは証明している。
なお、筆者の手元にある物は、来日中のバンドから直接入手したもので、イタリア盤のおリージョン0/PAL形式だった。PALは日本のプレーヤーでは基本的に再生できない(自動的にPAL/NTSC変換をしてくれる機種もある)が、PCであれば通常再生可能だ。
最新ライヴ作品「MASCHERE」製作の舞台裏エピソードも飛び出したキアラ(Vo)、マルコ(Gt&Vo)、ルカ(Ba)のインタビューは近日掲載予定です!ご期待ください!
MASCHERE – A Night at the Theater / TEMPERANCE(テンペランス)
1.Thousand Palaces*、2.At the Edge of Space*、3.Unspoken Words*、4.Empty Lines*、5.Maschere*、6.Haze、7.Fragments of Life*、8.Revolution*/Drum solo、9.Advice from a Caterpillar*、10.Change the Rhyme、11.The Restless Ride*、12.Oblivion*、13.Hero*、14.Bass solo、15.Mr. White*、16.Me Myself & I* 、17.Save Me、18.Deja Vu* (*CD収録曲)