ドゥーム・メタルの帝王、スウェーデンのCANDLEMASSの中心人物レイフ・エドリング(Ba)が、2013年に結成したバンド、AVATARIUM(アヴァタリアム)が、2年ぶりとなるサード・アルバム「Hurricanes & Halos(ハリケーン・アンド・ヘイローズ)」をリリースした。前作「The Girl with the Raven Mask」を最後に、CANDLEMASS、そして新たに立ち上げたソロバンドTHE DOOMSDAY KINGDOMの活動も始めたレイフがバンドを離脱し、バンドの先行きが心配されたが、その心配は全くの杞憂に終わった。「Hurricanes & Halos」は、これぞAVATARIUM!と言える素晴らしいアルバムだ。
現在のラインナップは、ジェニー・アン・スミス(Vo)、マルクス・イデル(Gt)、ラーズ・スコルド(Drs)
、マッツ・リュドストレーム(Ba/新メンバー)、リカード・ニルソン(Org/新メンバー)となっている。バンドのキーパーソンだったレイフの不在で、アルバムの方向性、クオリティが気にならないはずがないが、蓋を開けて見れば、そこには、バンド創成期から脈々と受け継がれるヘヴィ&メロディアス&ドラマティックなAVATARIUMの世界が健在だ。アルバム収録曲のうち6曲は、レイフがバンドに残した楽曲である事による部分が大きいが、前作以上に、マルクスとジェニーの楽曲への貢献度が増しており、AVATARIUMの独特の世界観を見事に演出している。今後は、この二人(ちなみに2人は夫婦)がバンドの顔として、活動していくことになるだろう。
ドゥーム・メタルというと、日本では総帥リー・ドリアン(CATHEDRAL、WITH THE DEAD)が得意とする圧殺ナンバーをイメージする方も多いと思うが、AVATARIUMはCANDLEMASSの流れをくむバンドなので、メロディも豊富で、普通に速い曲もある。オルガニストがいるという事で、’70sスタイルのDEEP PURPLE、URIAH HEEPにも通じるものがある。PV曲”The Starless Sleep“や”Into the Fire / Into the Storm“等は正に70’s HR的だ。アコースティック・サウンドにヴァイオリンも取り入れた曲等もあり、非常にアート・ロックの雰囲気も醸し出すアルバムだ。昨年、ようやくCANDLEMASSの来日が実現し、ファンを狂喜させたばかりだが、ぜひ、本作ではAVATARIUMの来日も期待したい。
Hurricanes & Halos / AVATARIUM
1. Into The Fire / Into The Storm、2. The Starless Sleep、3. Road To Jerusalem、4. Medusa Child、5. The Sky At The Bottom Of The Sea、6. When Breath Turns To Air、7. A Kiss (From The End Of The World)、8. Hurricanes And Halos