2017年1月31日に癌のために亡くなったジョン・ウェットン(John Wetton)。ロック史に残る大ヒットを記録したASIA、プログレッシヴ・ロックの代表作を数多く残したKING CRIMSONを始め、U.K.、URIAH HEEPといった名だたるバンドでの活動を続けてきたジョンだが、ソロでの活動も活発に行っている。
ジョンがソロ名義で制作したアルバムは「Caught in the Crossfire(1980年)」、「Battle Line(日本盤はVoice Mail、1994年)」、「Arkangel(1997年)」、「Sinister(日本盤はWelcome to Heaven、2000年)」、「Rock of Faith(2003年)」、「Raised in Captivity(2011年)」の6作だ。セールス的な面では、それ程大きな成功を収めたとは言えないジョンのソロ活動だが、そのクオリティは非常に高く、ソングライター、シンガーとしての非凡な才能がいかんなく発揮されている。
現在では入手が難しい作品もあるが、改めてジョンのソロ作を聴きたい、というファンにうってつけのコンピレーション・アルバムが2015年に「Studio Recording Anthology」としてリリースされている。CD2枚組、全32曲という内容でジョンのソロ作からの曲が収録され、ロバート・フリップ、スティーヴ・ハケット、ビリー・シャーウッド、サイモン・フィリップス、サイモン・カーク等、豪華ミュージシャンが参加している曲もある。”Battle Lines“、”Hold Me Now“、”Emma“等は、90年代以降にジョンが積極的に行ってきたソロ名義のライヴで頻繁にプレイされてきたが、ASIAやKING CRIMSON、U.K.の歴史的な名曲の中でにあっても何も遜色ない。ライヴ会場では「知らない曲」で括られてしまいがちだったかもしれないが、美しいメロディとハートフルなジョンの歌唱を味わう事ができる名曲だ。残念ながら、もうライヴでジョンがこれらを歌う姿を見ることはできないが、彼が残してくれた隠れた名曲達を、ぜひ多くのロック・ファンに聴いて頂きたい。
Studio Recording Anthology
Disc1:1.The Circle of St. Giles、2.The Last Thing on My Mind、3.Hold Me Now、4.Where Do We Go from Here、5.Another Twist of the Knife、6.I’ve Come to Take You Home、7.I Can’t Lie Anymore、8.Lost for Words、9.Battle Lines、10.Caught in the Crossfire、11.Arkangel、12.Right Where I Wanted to Be、13.Nothing’s Gonna Stand in Your Way、14.Second Best、15.Woman、16.Real World
Disc2: 1.Heart of Darkness、2.Say It Ain’t So、3.Cold in the Night、4.You’re Not the Only One、5.Raised in Captivity、6.Steffi’s Ring、7.Walking on Air、8.Take Me to the Waterline、9.Silently、10.Battle Lines (Acoustic)、11.I Lay Down、12.Rock of Faith、13.Who Will Light a Candle、14.You Against the World、15.Emma、16.After All