70年代から活躍するアメリカのハードロック・バンドHEART(ハート)が4年ぶりのニュー・アルバム「Beautiful Broken」をリリースした。本作は全10曲中新曲は2曲のみで、8曲は過去のアルバムからのリレコーディングで構成されている。80年代に"What About Love"、"These Dreams"、"Never"、"Alnone"等、世界的なビッグ・ヒットを連発した実績のあるHEARTだが、本作で選曲されているのは、そういった有名曲ではなく、オリジナル・アルバムを聴きこんでいるファンでなければ知らないであろ、隠れた名曲たちだ。なお、タイトル・トラックの"Beautiful Broken"にはMETALLICAジェイムス・ヘットフィールドがゲスト参加している。

HEARTの中心メンバーは、何といってもアン・ウィルソン(Vo)、ナンシー・ウィルソン(Gt & Vo)である。姉のアンは女性ハードロック・シンガーの草分け的存在で、女性版ロバート・プラント(ex. Led Zeppelin)の異名をとるほどにパワフルかつ表現力豊かなヴォーカリストで、その声量はデビューから40年が過ぎた現在でも健在だ。妹のナンシーも、華麗なギター・プレイは勿論、アンとは異なる透明感のある声で"These Dreams"等のヒット曲でヴォーカルをとっている。
80年代にアルバム「HEART」のヒットで大ブレイクしたHEARTだったが90年代には、ナンシーが家庭を優先させる為にバンドを離脱した時期もあった。しかし2002年にナンシーが復帰し、現在まで第一線で活動を続け、ロックの殿堂入りも果たしている。
日本でも90年代前半までは絶大な人気を誇り来日公演も行ってきたが、バンドがアメリカ以外では長期のツアーを行わなくなった事もあり、94年を最後に来日は実現していない。2000年代以降、数多くリリースされているライヴ作品では、パワフルな素晴らしいステージを見せてくれているので、ぜひとも、この日本でも再びライヴを実現してほしい。

Beautiful Broken

1.Beautiful Broken [Fanatic(2012)ボーナストラック]、2.Two [新曲]、3.Sweet Darlin' [Bébé le Strange(1980)]、4.I Jump [新曲]、5.Johnny Moon[Passionworks (1983)]、6.Heaven [Alive in Seattle(Alive in Seattle(2013)]、7.City's Burning [Private Audition(1982)]、8.Down on Me [Bébé le Strange(1980)]、9.One Word [Private Audition(1982)]、10.Language of Love [Passionworks(1983)]