デビューから40年以上の歴史を誇るアメリカの伝説的ハードロック・バンドAEROSMITH(エアロスミス)のシンガー、スティーヴン・タイラー(Steven Tyler)が、キャリア初となるソロ・アルバム「We’re All Somebody from Somewhere」をリリースした。スティーヴンは、これまでの長いキャリアの中で、ソロやコラボでのシングル曲をリリースしてきた事はあるが、本格的なソロ・アルバムは本作が初めてとなる。スティーヴンは、AEROSMITHは来年のツアーがフェアウェル・ツアーとなる事を宣言している。実際、AEROSMITHが今後どうなるかは不透明な部分があるが、スティーヴンが満を持して今回のソロ・アルバムを作り上げた事と、フェアウェル・ツアーの発言は無関係ではないだろう。
本作は、本国アメリカでは、カントリー・アルバムを中心に扱うレーベルDOT RECORDSとの契約で製作されている。よって、アルバムの全体的な音楽性はカントリー・スタイルといえるし、実際、アメリカではカントリー・アルバムにカテゴライズされている。カントリーは本場アメリカでは国民的音楽ジャンルなので、当然といえば当然だが、日本のファンの中には、カントリー・ソングに興味が無い方も少なくないだろうし、逆に、スティーヴンがカントリー?と聞くと不安な気持ちにさせられてしまうかもしれない。
しかし、スローなオープニング・ナンバー“My Own Worst Enemy”や、タイトル・トラック“We’re All Somebody from Somewhere”、美しいバラード“It Ain’t Easy”、ロック・スタイルの“The Good ,the Bad, the Ugly & Me”などには、ハードロックでは無いもののAEROSMITH的な雰囲気が感じられるし、その他の曲もロックの要素が強く、それほど本格的な「カントリー・ミュージック」ではないのでAEROSMITHファン、ロック・ファンんでも普通に楽しめる内容だ。
なお本作には、AEROSMITHの“Janie’s Got a Gun”、ジャニス・ジョプリンの“Piece of My Heart”のカバーも収録されている。