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12月13日に行われたガールズバンド限定のイベント、“ODYSSEY Presents GIRLS ROCK SPLASH!!! 2015-WINTER-”に、アジア・ツアーで来日中の韓国出身の4人組ロックバンド、Walking After U(ウォーキング・アフター・ユー)が海外アーティストとして史上初の出演を果たした。

あくまで「ロック」にこだわる全7組のガールズバンドが出演するこの大イベントは、他の共演者バンドのTシャツやグッズを身に着けたオーディエンスがほとんどであり、トップバッターであったWalking After Uにとっては少々逆境の中でのライブであったことは否めなかっただろう。このオーディエンスの中の何人が、これから彼女たちの放つロックへの情熱やその圧倒的なパフォーマンスを目の当たりにし、完全に彼女たちの世界に魅了されることとなると想像していただろうか。事実30分後、Walking After Uは見事にそれをやってのけたのである。

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オーディエンスを牽引する超本格ハードロック

パンキッシュな装いに身を包んだWalking After Uは、集まったオーディエンスからの、未知のバンドへの期待感と品定めをするような真剣さとが入り交じった視線を受けながら、ステージに登場した。

“We are !! Walking After U !!”と叫ぶと同時に鳴らされ始めた轟音は、このバンドが「本物のロックバンド」であることを理解するに十分なパワーを秘めていた。1曲目の“Fact”は、Ba.&Vo.のぺク・ヘインの声量に裏打ちされたボーカルが切れ良く乗せられたハードロックサウンドの新曲だ。最初から頭を振り乱し、観客をバンド自ら盛り上げていくWalking After Uの姿は、約50回以上の日本でのライヴ経験によって確立された「ライヴバンドWalking After U」のステージングそのものである。渋谷eggmanの空気感がステージの方から変わっていくことを察したオーディエンスは、自然と右手を振り上げることでその演奏に応えた。

そして早くも2曲目の“Runaway”でWalking After Uはオーディエンスの支持を集めたと言える。サビの“WOW OH-!! WOW OH!! WOW OH!!”という部分が印象的なアップテンポなロックチューンは、オーディエンスに「ノッてこい」と言わんばかりの曲である。曲中に「イケるな渋谷ー!!!!」とオーディエンスを煽るヘインはまさにカッコいいフロントマンという賛辞が相応しい。オーディエンスはステージの前方へ引き寄せられるように密集していった。

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ピンチをチャンスに変えるハイクオリティ

実は、今回の来日ツアーはGt.のソン・ジアが急病のため不在で、ギター無しの編成でライヴが行われている。韓国随一の女性ギタリストとしてWalking After Uを支える彼女の不在は残念であったが、ヘインのベース音をギターアンプからも出力することで音の分厚さを維持し、Key.のキム・ソニのキーボードがメロディを補うことで、打ち込みにも頼らずに全くのギター無しで演奏をしているのである。メンバーそれぞれにかかる負担は増え、音もより目立つが、ソリッドなドラミングのDr.のアッチャンの技術の高さもよく分かる。ジア不在のピンチは、逆にWalking After Uの演奏能力の高さを知らしめるチャンスだとも言えよう。

質の高いパフォーマンスによってオーディエンスを完全に味方に付けたWalking After Uは、3曲目に新曲の“Incubus”、4曲目には9月に発売されたデビューアルバム『Unleash…/アンリーシュ』のリードトラック“Burn”とハードロックな曲を立て続けに繰り出した。チャーミングな笑顔で常にレスポンスを求めるソニに応えるように、オーディエンスは熱く腕を振り上げ声を出し、この韓国からやってきたガールズバンドのプレイに熱狂した。

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世界レベルのガールズバンドについていく

一瞬の内に持ち時間の半分ほどが過ぎ一旦MCとなった。メンバーの中で一番日本語の上手いDr.のアッチャンがマイクを握り、簡単な挨拶と今後のライブの予定について説明した後、「物販でグッズも売ってます。だから今日はグッズを買って、家にきて(帰って)、おやすみなさーい」と言うと、会場は笑いに包まれた。ハードでクールなWalking After Uのライブサウンドとは打って変わって、親しみやすいガールズバンドとしてのWalking After Uの一面を垣間見せたことでオーディエンスの心も更につかんだことだろう。

そんなMC明けに選ばれた一曲はパワーバラードの“Blind”、これまでハスキーさが活きた力強いボーカルを聴いてきたオーディエンスは、この曲によって技術に富んだヘインのボーカリストとしてのポテンシャルと、Walking After Uというバンドのまだ見ぬ引き出しの多さを感じることができたのではないだろうか。オーディエンスはWalking After Uというバンドに出会えたことを誇らしげに思うかのような表情でこのバラードに聴き入っていた。最後の曲はこれもツアーのために用意したバンド初のオール英語詞の新曲である“Karma”、これまでに披露した曲の中でも1・2を争う激しさの曲であり、ヘインもさることながらアッチャンも随所にシャウトを織り交ぜ、フィナーレに相応しいエモーショナルな雰囲気を作っていった。オーディエンスも負けじと手を振り声をあげ、この雰囲気を共有していく。その姿は“Walking After U”というバンド名通りに「オーディエンスはあなたたちのバンドについていく」という意思表示そのもののように感じられた。

最後は“Thank you !! We are !! Walking After U !!”という結びの言葉とともに、Walking After Uのライヴは大盛況のうちに幕を閉じた。確かな演奏力とオーディエンスをしっかりと味方に変えていくそのステージングは、やはり世界レベルのバンドであると感じさせられる。実際、終演後には「やべぇ」、「すげぇ」という言葉が飛び交い、余韻に浸る人々が多くいた。まだ平均年齢20代前半の若きガールズロックバンドは、確かに日本の地で大きな衝撃を残しつつある。アジアのみならず世界を舞台に大きく羽ばたこうとするWalking After Uの今後にリスナーも置いて行かれてはならない。

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Walking After U セットリスト(12/13 渋谷eggman)

M1 Fact(新曲)
M2 Runaway
M3 Incubus(新曲)
M4 Burn
M5 Blind
M6 Karma(新曲)

‣次回ライヴ(Walking After U ASIA TOUR 2015:日本最終公演)

2015年12月18日(金)新宿Wild Side Tokyo
開場16:30/開演17:00 前売2,000円/当日2,500円(ドリンク代別

‣日本CDデビュー記念ミニライヴ&トークイベント

2015年12月19日(土)dues新宿
開場19:00/開演19:30 

Walking After U デビュー・アルバム『Unleash…/アンリーシュ』を当日御持参頂いた方は観覧フリー、先着順60人(特製帯・ライナー無しの海外盤でもOK/ご入場時に1ドリンク代金を頂戴致します)

司会進行:大野祥之(音楽評論家)

‣Walking After U:Japan Official Site

Walking After U デビュー・アルバム『Unleash…/アンリーシュ』商品情報

(直輸入盤/特製帯・歌詞対訳・ライナー付日本盤仕様)

アーティスト名:Walking After U
アルバム・タイトル: Unleash…/アンリーシュ
レーベル:LODIS COMPANY / INFINI JAPAN PROJECT LTD
2015年9月9日(水)より絶賛発売中
(ディスクユニオンのみ購入者特典DVD-R有/「Blind」「Burn」PV&オフショット入LIVE映像
「No Way(Aniya)」を収録)
LCCD-0001 定価 ¥2,700(税抜¥2,500)

歌詞対訳:加来順子
解説:大野祥之 / 高谷"Annie"学(DIABLO GRANDE) / Ryoji(GYZE)

<収録曲> 全10曲

M01. Burn / バーン
M02. The End / ジ・エンド
M03. Runaway / ランナウェイ
M04. P.O.T(Potion Of Time) / P.O.T(ポーション・オブ・タイム)
M05. Blind / ブラインド
M06. Bambi / バンビ
M07. I Don’t Wanna Die / アイ・ドント・ウォナ・ダイ
M09. No Way(Aniya) / ノー・ウェイ(アニヤ)
M09. Eye(Can't Stop Staring / アイ(キャント・ストップ・ステアリング)
M10. Secret / シークレット

<配信ストア一覧>

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