日本では未発売となっていたライヴ作品等が、2/24に一挙にリリースされるイギリスのプログレッシヴ・ロック・バンドMARILLION(マリリオン)。まもなくデビュー35周年を迎えるこのベテラン・バンドは、欧州で圧倒的な人気を誇り、2013年にはプログレッシヴ・ロック・アワーズの”Band of the Year”にも輝いている。日本でも94年リリースのコンセプト・アルバム「Brave」が、大きな話題となったが、残念ながら彼らの日本でのピークはこの時代で、その後、99年の「Marillion.com」以降は日本盤のリリースすら無くなってしまっていた。

そのMARILLIONが14年ぶりに日本でリリースしたアルバムが、2012年の「Sounds That Can’t Be Made~創られざる音律~」で、2/24リリースのライヴ作品「A Sunday Night Above the Rain」では、その全曲がプレイされている。このアルバムの特徴は何と言っても、圧倒的なサウンドのダイナミズムと大作主義の復活で、オープニングの17分を超える大作”Gaza“がその象徴だ。前作の「Less is More(2009年、2/24に日本初リリース)」が、コンパクトな曲を揃えたアコースティックのセルフ・カバーだった事を考えれば正反対の作風で、一気にMARILLIONの世界に引き込まれる。タイトル・トラックの”Sound That Can’t Be Made“は、キャッチーなメロディとドラマチックな展開が同居した名曲で、正に曲名のとおりMARILLION以外の誰にも出すことができないサウンドだ。

最新作の「F*** Everyone & Run (F E A R)」も素晴らしいアルバムだが、全体的に落ち着いた曲が多く、アルバムの全体像を掴み、その魅力を感じ取るまでには、ある程度の聴きこみが必要で、その意味では初心者向けのアルバムとは言い難い部分ある。その点、この「Sounds That Can’t Be Made」は、メリハリのある曲、キャッチーな曲、そしてHR/HMファンにアピールする、ダイナミズムを兼ね備えているので、MARILLIONを聴いたことがないHR/HMファン、プログレッシヴ・ロック・ファンにも最適なアルバムと言える。新作「F E A R」に伴うツアーでも、本作からの曲がライヴ冒頭で立て続けにプレイされているのも、その掴みの良さ故であろう。なお、日本盤には、2009年リリースのアコースティック・ライヴ「Live from Cadgan Hall(2/24に日本初リリース)」からセレクトされた曲を収録したボーナス・ディスクが付属で、通常のCD1枚の値段(2,381円+税)という嬉しい価格設定になっている。

Sounds That Can’t Be Made ~創られざる音律~ (スペシャル・エディション)

Disc1: 1.Gaza、2.Sounds That Can’t Be Made, 3.Pour My Love、4.Power、5.Montreal、 6.Invisible Link、 7.Lucky Man、 8.The Sky Above the Rain
Disc2 (Bonus Live Disc): 1.No One Can、2.Beautiful、 3.You’re Gone、 4.80Days、 5. Easter (Live from Cadgan Hall)

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