“国内インディー・メタル・シーンの活性化”を旗印に掲げたライヴイベント「ROCK of AGES」が2016年2月より開催されている(主催Nightmare Promotion)。通算4回目となる今イベントは、BLINDMAN(ブラインドマン)DEAD EYED SPIDER(デッド・アイド・スパイダー)を初めとするオーセンティックなHM/HRのスピリッツを現在に継承する精鋭6組が表参道GROUNDに集結。また、イベント初の試みとして海外勢にも門戸を開放したことで、韓国HM/HRシーンの黎明期から活動するBLACK SYNDROME(ブラック・シンドローム)のパク・ヨンチョル<vo>率いる新バンド、WICKED SOLUTIONS(ウィキッド・ソリューションズ)が2度目の来日を果たし、今イベントに花を添えた。当日の模様をリポートしてみよう。


blasdead

◆BLASDEAD
BLASDEAD
は1990年の結成以来、四半世紀を越える歴史を誇る正統派パワーメタルの重鎮。メンバーがステージに姿を現すやいなや、Hammy<vo>は得意のハイトーン・ヴォイスで「ヘヴィメタル!」と絶叫。初期の代表曲で、2010年に再録された「Another Dimension」をぶつけてきた。Kentaro<b>は初っ端から頭を激しく振り乱している。中盤のMCで、最古参メンバーのYASUNO<g>に誕生祝いの花束が贈られた一方で、今イベントをもってバンドを脱退するSatoo<g>にも同じく花束が贈られる。一見すると感情が交錯する場面だが、決してウェットにならずに、YANO<ds>の「行くぞ!」という大声と共に、再び初期の代表曲である「Nightmare」でラストスパート。徹頭徹尾スピードとメロディ、パワーにこだわったセットリストでトップバッターの大役を果たした。

◆BLASDEAD Setlist
1. Another Dimention
2. Brand-new Sky
3. Phoenix Never Dies
4. Blood of the Steel
5. The Crossing
6. Nightmare

◆BLASDEAD
Hammy<vo>
YASUNO<g>
Satoo<g>
Kentaro<b>
YANO<ds>

◆BLASDEAD Official Site
http://www.blasdead.com/


◆THE ROSEBUD MOUTH

therosebudmouth
THE ROSEBUD MOUTH(ザ・ローズバド・ハウス)は2012年に結成された5人組。今イベントの2日前に、バンド初の全国流通EP『ROCK AND ROLL,GET YOUR SOUL!』を発表したばかりだが、AEROSMITH(エアロスミス)AC/DC直系のクラシック・ロックを身上としている。まるでアクセル・ローズ(GUNS N’ ROSES)のような佇まいのSeku Rosebud<vo>は、「Rock And Roll, Get Your Soul!!」、「Cheep Tatoo」を2曲続けて歌うと、マイクスタンドを片手に「天井が高くて最高」と悪戯っぽく笑みを浮かべる。一方で、紅一点のMu<b>のベース音が機材トラブルで途切れるアクシデントが起きたが、ギターチームのTaka Rosebud<g>Gan Rosebud<g>、そしてSekuの3人は、「Rock’n Roll Grandslam」の締めくくりでホームランをかっ飛ばす仕草。ショウビジネスの光と影をダイレクトに伝える日本語詞曲「ロックンロールバンド」がよいスパイスになっていた。

◆THE ROSEBUD MOUTH Setlist
1. Rock And Roll,Get Your Soul!
2. Cheep Tatoo
3. Rock’n Roll Grandslam
4. Life in the Groove
5. ロックンロールバンド
6. Rock’nRoll Chauffeur

◆THE ROSEBUD MOUTH
Seku Rosebud<vo>
Taka Rosebud<g>
Gan Rosebud<g>
Mu Rosebud<b>
Mamo Rosebud<ds>

◆THE ROSEBUD MOUTH  Official Site
http://www.therosebudmouth.com/


Alice In Hell

◆ALICE IN HELL
ALICE IN HELL(アリス・イン・ヘル)
は2011年にHAMADIE<vo,g>を中心に結成された、トリオ編成のスラッシュ・メタルバンド。タイトかつパワフルなVON<ds>は、日本を代表するロックドラマー、本間大嗣(元FLATBACKER~E.Z.O~ANTHEM~LOUDNESS等)のローディーを長年務めていたという。重いリフの「Cry For War」から幕を開けると、スラッシーさを増した「Time To Die 」へ。KILLER<b>の地を這うベース・ラインが重さを際立たせる。MCを挟まずに一気に3曲プレイすると、バンドは2017年5月に2ndフル・アルバムをリリースする旨を謙遜しつつアナウンス。そして、METALLICA(メタリカ)ばりの爆走チューン「Black Fist」に突入。その一方で、HAMADIEは「The Battle Of Ulster」でネオ・クラシカル風のフレーズを披露して懐の広さを垣間見せると、出演バンド最多の合計9曲をぶち込んでオーディエンスを唖然とさせた。

◆ALICE IN HELL Setlist
1. Cry For War
2. Time To Die
3. Creation Of The World
4. Blood Fist
5. Rage 4 GT
6. The Battle Of Ulster
7. Down The Highway
8. Alice In Hell
9. Mosh Of The Dead

◆ALICE IN HELL
HAMADIE<vo,g>
KILLER<b>
VON<ds>

◆ALICE IN HELL Official Site
http://aliceinhell.com/


Wicked Solution

◆WICKED SOLUTIONS
韓国HM/HRシーンの重鎮パク・ヨンチョル<vo>率いるWICKED SOLUTION(ウィキッド・ソリューションズ)が、今イベントのために日本再上陸を果たした。重厚なボトムを支えるキム・インチョル<b>は母国ではプロデュース業でも活躍しており、ヨム・ミョンソプ<g>はメタルコアバンドのHAMMERING(ハマリング)の一員としても来日経験がある。グルーヴィーな「Suck Me Now」で幕を開けると、パクは「Thank You!」とシャウト。続く「A Loser」では天井めがけて水を吹き上げる。中盤ではアラビックなフレーズのベースソロや、『スター・ウォーズ』のサントラ曲をメタル調でプレイする遊び心も。ほぼ全編、韓国語詞のセットリストだったが、彼の国のHM/HRシーンを牽引する猛者達のパフォーマンスは言葉の壁を軽々と越え、締めくくりのファストチューン「Chaser」は爽快感すら覚えた。

◆WICKED SOLUTIONS Setlist
1. Suck Me Now
2. A Loser
3. Bass Solo~Revelation
4. The Imperial March (Darth Vader’s Theme)
5. Make Vow+Roaring Thunder
6. Chaser

◆WICKED SOLUTIONS
パク・ヨンチョル<vo>
ヨム・ミョンソプ<g>
キム・インチョル<b>
オ・イルジョン<ds>

◆WICKED SOLUTIONS Official Facebook Page
https://www.facebook.com/wicked15/


Dead Eyed Spider

◆DEAD EYED SPIDER
DEAD EYED SPIDER(デッド・アイド・スパイダー)
は横浜を拠点に活動するHRバンド。千田忠彦<vo>のソウルフルな歌声はデイヴィッド・カヴァデール(WHITESNAKE)を彷彿とさせる。現時点でのスタジオ最新作『BLACK DEAL』のタイトルチューンが鳴り響き、千田が姿を現すと、オーディエンスの熱気は早くも最高潮。やはり同アルバム収録曲の「Breeder Of Hate」に移ると、関根浩<g>が客席を指差しながらオーディエンスに応える。また、中盤のMCでは、2017年1~2月にジャパニーズ・メタル界の大御所TILT(ティルト)と横浜・名古屋で2マンライヴを行う旨を発表してオーディエンスを喜ばせた。後半の「Because it’s Love」では青木亮一<ds>のカウベルのリズムに合わせて千田はコール&レスポンスを促すと、「Running Away from The Phantom」では上半身をのけぞらせて渾身のロングトーン。今イベントの3ヶ月前に急逝した所属レーベル代表者の耳まで届かんばかりの絶唱だった。

◆DEAD EYED SPIDER Setlist
1. Black Deal
2. Breeder Of Hate
3. Same Make Illusion
4. Show Me Your Blood
5. Because It’s Love
6. Running Away From The Phantom

◆DEAD EYED SPIDER
千田忠彦<vo>
関根 浩<g>
青島康太郎<b>
青木亮一<ds>

◆DEAD EYED SPIDER Official Site
http://www.deadeyedspider.rocks/


Blindman

◆BLINDMAN
今イベントの大トリに登場したBLINDMAN(ブラインドマン)は、言わずと知れた日本を代表する正統派HMバンド。前年まではメンバー脱退に伴ってヴォーカル&ドラムにゲストを迎えた状態で活動していたが、Ray<vo>實成峻<ds>が新たに加入。装いを新たに再始動した。近年セルフ・カヴァーされた初期の代表曲「Living A Lie」で幕を開けると、Rayは「拳を振り上げていこう!」とアジテーション。同じくセルフ・カヴァーされた「…In The Dark」を2曲目にプレイすると、新編成での第1弾アルバム『TO THE LIGHT』収録曲の「Rising Sun」を試し切り。少々メロウな「The Silence Of Fate」では、リーダーの中村達也<g>がピックを投げるサービスも。本編を締めくくる「The Way To The Hill」で、Rayは「最高!」と叫んでオーディエンスと拳を合わせる。アンコールの「Turning Back」に至るまで、長いキャリアを見事に凝縮したセットリストだった。

◆BLINDMAN Setlist
1. Living A Lie
2. …In The Dark
3. Rising Sun
4. The Silence Of Fate
5. The Touch Of Gray
6. The Tears Of God
7. The Way To The Hill
En. Turning Back

◆BLINDMAN
Ray<vo>
中村達也<g>
戸田達也<b>
實成峻<ds>
松井広樹<key>

◆BLINDMAN Official Site
http://www.blindman.jp/


いかがだったろうか。昨今は女性ヴォーカルをフロントに据えたバンドが増えているが、今イベントの出演バンドは全員男性シンガーを据えている。なおかつ、キーボーディストを擁するバンドはBLINDMANのみで、各バンドのギター・プレイヤーはいずれもレスポール、またはフライングVタイプの使い手だったのが印象的だった。パワーメタル、クラシック・ロック、スラッシュ、ブルースベースのハードロックなど、個々の音楽性やジャンルは違えど、いずれもラウドで骨太なサウンドを追及していることが使用機材でも窺い知ることができた。
2017年3月5日(日)に吉祥寺SEETAで行わる次回イベントは装いをガラリと変え、メロスピ、ヘヴィロック、正統派HM/HR、ジャパメタ、シンフォニックからアイドルに至るまで、バラエティ豊かな顔ぶれが一堂に会するという。今後の「ROCK of AGES」に期待したい。