40周年記念ツアーを行ったRUSHがライヴ作品「R40 Live」をリリース

今年、40周年記念ツアーを行ったRUSH(ラッシュ)が、地元カナダ・トロントでのショウを収録したライヴ作品「R40 Live」をリリースした。大規模なツアーはこれが最後とも言われ、約30年ぶりの来日も期待されたRUSHだったが、今回のツアーでも来日は実現しなかった。
2003年の「Rush in Rio」以降、RUSHはツアーの度にライヴ映像とCDをリリースしてきており、今回のツアーも早い段階からリリースのアナウンスがされていた。2008年の「Snakes & Arrows Live」の時は、欧州ツアー後にライヴ・アルバムをリリースし、再度ツアーを再開。最終的に北米ツアーが終わった後に映像作品をリリースする、という変則的な日程を組んでいたが、今回は北米だけを回って、CD+映像作品をリリースとなったので、R40に伴う活動はこれで終了、という事になるだろう。本作のリリースに伴うインタビューでは、当然、今後の活動有無に対する質問もあったが、メンバーは、明言は避けていた。但し、バンドを解散するという事にはならない様で、アルバム制作は続けていく様だ。

バンドの歴史を網羅した「自然体」のセットリスト

40周年記念という節目のツアーという事で、RUSHのライヴで恒例となっているオープニング・ムービーは、デビュー当時からのメンバーのファッションと音楽の変遷をたどるアニメーションThe World is.. The World is…となっている。メンバーの姿が現在まで来たところで、幕が上がりThe Anarchistがスタート。アニメとシンクロする形で最新アルバム「Clockwork Angels(2012年)」の収録曲からライヴが始まる、というストーリーになっている。
その後も、同じく最新作からHeading Flight、その前作となる「Snakes & Arrows」からFar Cry、The Main Monkey Businessと、通常のライヴの様に近年作からの曲がプレイされていく。後半に進むにつれて、80年代、70年代の曲主体になっていくが、RUSHは、RUSHは、いつのツアーでも、ほぼバンドの歴史を網羅した選曲でプレイしているので、それほど特別なセットリストにはなっていない。その辺りの自然体が、RUSHらしいとも言えばRUSHらしい。

還暦越えを感じさせない、現役感のあるライヴ

メンバー全員が還暦越えであるが、70年代から活躍する多くの超ベテラン・バンドが、演奏、容姿ともに、年相応になっていく中で、RUSHは例外と言っても良いだろう。勿論、見た目は30年、40年前と全く同じ、という訳にはいかないが、見た目も老いを感じさせる程ではない。演奏に至っては、70年代~80年代の曲であっても、全く問題は無い。これだけの現役感があれば、まだまだ次も大丈夫、と感じられる。40年間続けてきたメンバーからすれば、年齢による限界、というよりは、アルバムを作ってワールド・ツアーという生活に区切りを付けたい、という気持ちなのかもしれない。但し、多くのベテラン・バンド、ミュージシャンが同じ様な事を宣言しつつ、暫くすると前言撤回をして、ツアーに戻る、という事を繰り返している。このライヴ作品を見て、まだ大丈夫、暫く充電をしたら、また戻ってきてほしい、と思うファンは多いに違いない。

なお本作の映像(Blu-ray、DVD)は輸入盤のみのリリースとなっており、現時点では国内盤はCDのみのリリースとなっている。輸入盤、国内盤ともCDには、映像作品には入っていない、Clockwork Angels、The Wreckers、The Camera Eye、Losing Itが収録されている。他のバンドであれば、日本盤のみの特典映像やボーナストラックをプラスした特別仕様も期待できるのだが、そうはならないのもRUSHならでは、と言えるだろう。