KINGDOM COMEは、ドイツ出身のシンガー、レニー・ウルフ(Lenny Wolf)が中心となって結成され、1988年リリースのデビュー・アルバム「Kingdom Come」がアメリカを始めとする世界中で大ヒットを記録したバンドだ。80年代後半の世界的なHR/HMブームの時代とはいえ、新人バンドがここまでのヒットを飛ばすというのは異例の事だった。LED ZEPPELINからの影響の露骨さが「Led Clone」なる造語まで生み出すほど、彼らの存在はセンセーショナルだったのだ。今になって改めて聴いてみると、LED ZEPPELIN風なのはシングル・ヒットした曲だけで後は全然違うのだが、レニーの歌唱スタイルがロバート・プラントの影響を受けていた事や、当時のバンドが批判的なメディアや他バンドとの対決姿勢を示した事で、今でいう「炎上」ネタを提供していた事で、実態以上に「Led Clone」のイメージが定着してしまった感がある。

バンドは1989年のセカンド「In Your Face」ではファーストにあった”ZEP的”と言われた要素を払しょくし、初期のSTONE FURY(レニーのKINGDOM COME以前のバンド)に近いメロディク・ハードロック路線に回帰した。しかし、今度はそれが仇となり楽曲の質とは無関係に「ZEPっぽくない」という理不尽な理由で批判され、デビュー作には程遠いセールスに終わり結果的にバンドは解散する事となる。その後、KINGDOM COMEはレニーのソロ・プロジェクトとして、現在も続いているが、日本盤は20年以上リリースされていない。

今回、そのKINGDOM COMEの初期の国内盤3枚が、それぞれ1,000円(税抜)というスペシャル・プライスで3/14に再発される事となった。世界的ヒットとなったファーストは勿論、レニーとバンドの本質が表れたと言ってよいセカンド「In Your Face」そして実質的なレニーのソロ「Hands of Time(1991年)」と三者三様の魅力が詰まった名盤である。

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