現在のロック・ギター・シーンの最高峰を極めるスーパー・ギタリスト、ジョー・サトリアーニ(Joe Satriani)が、2015年以来となるニュー・アルバム「What Happens Next」をリリースした。これまで数多くのアルバムをリリースしてきたジョーにとっても、今回のアルバムは、これまでになく特別なものとなっている。それは言うまでもなく、レコーディング・メンバーに、グレン・ヒューズ(Ba, ex DEEP PURPLE、BLACK COUNTRY COMMUNION)、チャド・スミス(Drs、RED HOT CHILI PEPPERS)を迎えた事にある。

そして、この編成は、単にビッグ・ネームがレコーディングに参加した、という事に留まらない。これまでも数多くのビッグ・ネームと共演しているし、チャドとはサミー・ヘイガー(Vo)マイケル・アンソニー(Ba)との超スーパー・バンドCHICKENHOOTでも活動している。本作が特別なのは、グレン・ヒューズが完全にベーシストとして参加をしている事にある。ベーシストであると同時に超一流のシンガーでもあるグレンは常にベース&ヴォーカル、もしくはヴォーカル専任という形で作品を作る事はあっても、ベーシストとしてアルバムに参加する事は極めて異例である。しかし、グレンはベーシストとしても超一流であり、ハードロックからファンク、ソウルまで幅広い音楽をプレイできる腕前の持ち主だ。そのグレンがジョーの作品でベースをプレイする。しかもトリオ編成だ。オープニングの”Energy“から、グレンとチャドのドライヴするリズムの上でジョーのギターが躍動している。しかも、その音はとてつもなくヘヴィで生々しい。ソロ・ギタリストとして様々なスタイルのインスト・アルバムを作ってきたジョーだが、ここまでピュアで荒々しいサウンドのアルバムは久しぶりだ。90年代、DEEP PURPLEに一時的に参加した直後の「Joe Satriani(1995)」「Crystal Planet(1998年)」あたりの雰囲気に近いものがある。

是非、このグレン、チャドとのトリオ編成でライヴを期待したいところだが、現在ジョーは、マイク・ケネリー、ブライアン・ベラー、ジョー・トラヴァースを率いて、ジョン・ペトルーシ(DREAM THEATER)、フィル・コリン(DEF LEPPARD)とのG3でアメリカをツアー中だ。その後はペトルーシ、ウリ・ジョン・ロートというラインナップのG3でヨーロッパをツアーする事になっている。ゆくゆくは、ジョー単独でのツアーも行われる事も考えられる為、その時にはぜひ、グレン、チャドとのツアーの実現を期待したい。

What Happens Next / ジョー・サトリアーニ

1.Energy、2.Catbot、3.Thunder High on the Mountain、4.Cherry Blossoms、5.Righteous、6.Smooth Soul、7.Headrush、8.Looper、9.What Happens Next、10.Super Funky Badass、11.Invisible、12.Forever and Ever