カリスマ・ギタリスト、アクセル・ルディ・ペルの25周年記念ライヴ「Magic Moments」

ドイツのカリスマ・ギタリスト、アクセル・ルディ・ペル(Axel Rudi Pell)が2014年に行ったキャリア25周年記念のコンサートの模様を収録したライヴ作品「Magic Moments」が登場した。アクセルがデビュー当時に在籍したバンドSTEELER(イングヴェイ・マルムスティーンが在籍したバンドとは別のバンド)の復活や、グラハム・ボネット、ドゥーギー・ホワイト、ロブ・ロック、ジョン・ロートン等、豪華ゲストが多数登場する25周年に相応しい内容だ。現時点では輸入盤のみでCD、DVD、Blu-rayの各フォーマットがリリースされている。

豪華ゲストと共演する貴重なパフォーマンスを収録

オープングで登場するSTEELRは80年代に活動したバンドで、本作で聴ける演奏はお世辞にも上手いとはいえない。アクセル以外のメンバーの演奏には素人臭さとブランクが感じられるが、25周年記念の特別な再結成という事で、ファンに暖かく迎えられている様子が分かる。STEELER以降はアクセル本来のバンドが登場し、ここから一気に演奏もレベルが上がる。前半はアクセルのオリジナル曲が中心で、後半はアクセルが敬愛するRAINBOWやDEEP PURPLEの代表曲がズラリと並ぶ。PRETTY MAIDESのロニー・アトキンスが歌うBlack Nightや、ドゥーギー・ホワイトのMistreated、グラハム・ボネットのSince You Been Gone、Long Live Rock n’ Rollといった貴重なパフォーマンスを見る事ができる。ライヴの最後は全員でSmoke on the Waterの大合唱だ。

アクセル未体験のハード・ロック・ファンにも最適なスペシャル・ライヴ

80年代の頭角を現した他のギタリストと違い、難易度の高いギターテクを披露するタイプではなく、ステージングも控え目なせいだろうか、優れたアルバムを何枚もリリースしているにも関わらず、地元ドイツ以外では、それほど大きな成功をおさめているとはいえない。日本でもコンスタントにアルバムがリリースされているにも関わらず、今一つ評価が上がらないのは、昔から「リッチー・ブラックモアのコピー」というレッテルが貼られてしまっている為と思われるが、実際には曲もプレイ・スタイルもリッチー風ではあるが、それほど「リッチーをコピー」している訳ではなく、本人が、必要以上にリッチーへの敬愛を語り過ぎているのが裏目に出ている気がしてならない。正統派の様式美ハード・ロック・ファンには是非、お勧めしたいギタリストの一人だ。馴染みのないミュージシャンのオリジナル作品をいきなり聴くのはハードルが高いものであるが、その点本作はアクセルの本来のライヴと、豪華ゲストとの共演が楽しめるスペシャル・ライヴなので、アクセルを未体験のハード・ロック・ファンにも最適な内容と言える。