YESの遺伝子を受け継ぐバンドCIRCAがニュー・アルバムをリリース

先日、11月の来日公演が決まったYES(イエス)でクリス・スクワイア(故人)の後任としてベースをプレイしているビリー・シャーウッド(Billy Sherwood/Gt&Vo)が、YESのオリジナル・メンバーであるトニー・ケイ(Tony Kaye/Key)と組むプログレ・バンドCIRCA(サーカ)が、ニュー・アルバム「Valley of the Windmill/ヴァレー・オブ・ザ・ウィンドミル~風車の谷の物語」をリリースした。フル・アルバムで全4曲(日本盤はプラス1曲ボーナストラック有)という、曲数だけでアルバムの良し悪しを判断はできないが、長い曲が多いアルバムというだけで、期待感が高まってしまうプログレ・ファンは少なくないだろう。1曲目から順に14分、10分、7分、18分という長尺曲で構成されたアルバムで、作風としては一言で言えばYESへの愛情と敬意、特にクリス・スクワイアへの思いに満ちたアルバムと言える素晴らしい内容だ。

ビリー・シャーウッドのYES愛に満ちたアルバム

ドラマチックに展開する長い曲、テクニカルでありながら抒情的、厚みのある美しいコーラス、そしてドライヴするベースライン、すべてがYESが作り出してきたオリジナルの音楽性であり、CIRCAはその音楽性を忠実に意識している。近年のYESの作品、「Fly from Here」や「Heaven & Earth」等に物足りなさを感じていたファンは、ぜひ、このアルバムを聴いてみていただきたい。YESというバンドに長く関わっていながら、サイドマン的な立ち位置にいたビリー・シャーウッドという人は、ある意味でYESとはかくあるべしという音楽観やサウンドをメンバー目線、ファン目線の両面から最も深く理解していると言えるかもしれない。そんなビリーだからこそ、クリス・スクワイアの後任という難しいポジションを受け入れることができ、ファンも、ビリーならば、と認める部分があるのだろう。
なお、CIRCAには当初YESのドラマーであるアラン・ホワイトも在籍していたが、今はバンドを離れている。また、80年代の所謂90125YESではメンバーとして在籍しながらトレヴァー・ラビンというマルチ・プレイヤーの陰に隠れてしまっていたトニーも、CIRCAでは唯一のキーボード・プレイヤーとして見事な存在感を放っている。

Valley of the Windmill/ヴァレー・オブ・ザ・ウィンドミル~風車の谷の物語

1.SILENT RESOLVE 静寂と決意、2. EMPIRE OVER 越権統治、3. VALLEY OF THE WINDMILL 風車の谷のお話を、4. OUR PLACE UNDER THE SUN 太陽の下に、5. CLOUDY SUNDAY MORNING 曇天の日曜朝に憶ふ(日本盤ボーナス・トラック)