昨年のPINK FLOYD「Endless River(永遠/TOWA)」に続きソロアルバムをリリース

PINK FLOYDのデヴィッド・ギルモア(ギター、ヴォーカル)が、2006年の「On An Island」以来となる4枚目のソロ・アルバム「Rattle That Lock(邦題:飛翔)」をリリースした。約9年ぶりという事になるがPINK FLOYD名義で昨年「Endless River(邦題:永遠/TOWA)」をリリースしている為、80年代後半以降は寡作傾向にあったPINK FLOYD、及びメンバーの作品が2年連続でリリースされた事になる。新作ではないが、元メンバーのロジャー・ウォーターズも8月に「Amused To Death(邦題:死滅遊戯/オリジナルは92年発表)」の2015年リマスターをリリースしたばかりで、ファンには嬉しいリリース・ラッシュとなっている。

PINK FLOYDファンにはお馴染みのギルモア節

前作「On An Island」同様、本作も共同プロデューサーとしてROXY MUSICで活躍したギタリスト、フィル・マンザネラがクレジットされている。フィルはギルモアのソロ・ツアーにギタリストとして参加していたが、レコーディングでは、一部のパートを除きギルモアがほぼ全てのギターを弾いている。その他の楽器もドラム以外は殆どギルモアによるものだ。ロジャー脱退後、PINK FLOYDのイニシアティブはデヴィッドが握っていた事もあり、PINK FLOYDもデヴィッドのソロも音楽性に大きな違いは無い。ギターのスタイルも、エフェクターを多用した分厚いサウンドは無いものの、それ以外はPINK FLOYDファンにはお馴染みのギルモア節だ。PINK FLOYDとして制作した前作「Endless River」は1曲を除いて全てがインスト曲だったが、今回は本編10曲のうちインストは3曲で、残りはヴォーカル曲となっており、当然ギルモアが歌っている。先行で公開されたタイトル・トラックRattle That Rockが妙にアップテンポで意表をつかれた感があったが、昔のギルモアを思い出せば不自然な曲ではないし、アルバムの全体的な雰囲気は「On An Island」の延長線と言える。

アルバム・リリース前にツアーを開始、PINK FLOYDの曲も

「Endless River」のリリース時は一切ライヴを行わなかったが、今回はアルバム・リリース前から既にヨーロッパ・ツアーを始めている。2部構成のライヴでは、本作からの曲も当然演奏されているが、意外にもPINK FLOYDの曲が多い。年末から来年にかけては北米、南米もツアーをする予定となっており、88年のPINK FLOYD以来の来日が実現するかが気になるところだ。