ギタリストとして50年以上のキャリアを誇る、孤高のギタリスト、ジェフ・ベック(Jeff Beck)が、オリジナル・アルバムとしては6年ぶりとなる「Loud Hailer(ラウド・ヘイラー)」をまもなくリリースする。90年代にロック・アルバムの製作から遠ざかっていた時期があったが、「Who Elese!(1999年)」で復活を果たした後のベックは、ベテラン・ミュージシャンにありがちな回顧路線をとるのではなく、それまで以上に新しいミュージシャンとのコラボ、独創的で斬新な作品をハイペースで生み出してきた。決まった音楽性に束縛されず、常にその時点で自らが指向する音楽を大胆に取り入れる手法は、時に賛否両論を巻き起こすが、どんな音楽であってもベックにしか出せないギター・サウンドは不変であり、そこがベックの凄さである。

本作「Loud Hailer」から先行公開された"Live in the Dark"のPVは、既に全世界のファンも間で大きな話題となっている。女性ヴォーカル、ロージー・ボーンズを大きくフィーチャーした作風が、ギター・インストに拘るファンからはブーイングも起こっているが、これが今回のベックの路線で、ロージーは9曲でヴォーカルをとっている。また本作には、女性ギタリスト、カーメン・ヴァンデンバーグも参加しており、基本的にはベック、ロージー、カーメンの3人がメインで作られたアルバムとなっている。その他のメンバーは、ダヴィデ・ソラッツィ(Dr)、ジョヴァンニ・パロッティ(Ba)がクレジットされている。

唯一無二のギターは健在!

スリリングなギター・インストを期待したファンには肩透かしな部分もあるだろうが、何度も書くように、ベックのギター・サウンドはどんな音楽でも不変である。そしてベックはギター・プレイしかしない事で有名なギタリストだ。曲も殆ど書かないし、クラプトンの様に歌う事もない。コラボしたミュージシャンが書いた曲でギタープレイする。不自然にギターのミックスを全面に出す様な無粋な真似をせずとも、自然にギターを弾くだけで全てを持っていくベックの凄さといえる。先月(6/24)御年72才となった本作でも、ベックの唯一無二のギター・ワークは健在である。